068_妹と謎の声
その日、朝日と共に気持ちよく目が覚めたので、そのまま着替えて朝のコーヒーを飲みに行った。今日は朝食の担当だが、阿地が『眠いので起こさないでください』と言っていたので朝食は不要なのだそうだ。
……昨日なんだかうめくような声が隣の部屋から聞こえてきたのは聞かなかったことにしよう、確定させなければ何の問題も無いことだ。世の中に走らない方が良いことだって多いもんな。きっと阿地も風邪か何かで苦しんでいたのだろう、そういうことにしておいた方が平和なんだからそう決めつけておく。
一人コーヒーを飲んでいると落ち着いてきた。外の天気も良いことだし、部屋の換気でもしようかな。阿地の方は当分起きてこないだろうし、のんびり出来る。
そういえば、阿地は朝飯をどうするかな、時間の余裕はあるが、何か憑くっておいた方題意だろう。ただ、アイツは見た目にこだわるからなあ……どうしたものだろうか。
俺の作った朝食をSNSにアップロードするのはやめて欲しいのだが、まともな朝食だとすぐにスマホを取り出してきてたしな。ふむ……さてなんにしたものか……?
無難にご飯とお茶漬けのふりかけでも置いておこうか? 流石にそれを全世界に後悔するほど物好きではないだろう。だからそれでいいような気もするが、見た目にこだわるからなあ……
ふとそこで思いついたのだが、綺麗な漬物を前に買ったのを思いだした。味の方はそれなりだったが見た目がいい感じの桃色をしていると言うことで阿地が買ったものだ。
無難にお茶漬けと漬物を出して切り、いい感じに盛り付けて置いておいた。後はお湯を注ぐだけなので出来たてを写真に収めることも出来るはずだ。漬物一つあるだけでも随分と見栄えが違うのには感心する。
まあ……この漬物が味はそう変わらないのにお高いものだったのには目を瞑ろう。こうして役に立っているんだしな。
そんなことを考えているとシャワーの音がした。朝からシャワーか、結構なことだと思いながら阿地を待っていると割と早めにやって来た。
「あ、お兄ちゃん、朝ご飯どうも」
「ああ、俺の担当だからな。にしても朝からシャワー浴びるのか?」
「ああ、いろいろと汚しちゃいましてね」
「何がどう汚れたのかは聞かないでおこう。だから具体的にそれを語るなよ? フリでもなんでもないからな? 俺は消されたくないんでね」
「何の事を言っているのか分かりませんが、お兄ちゃんは心配のしすぎですよ。世の中は案外懐が深いんですよ」
そうでもないだろうと言いたくなったが、出来ればそうであって欲しいと思うので黙っておいた。その日の朝食はお湯を注いで湯気が出るところをいい感じに撮影していた。見た目がそこまで大事かねと思いながらもその少し変わった食事風景を眺めたのだった。




