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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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058_妹と隠しきれない趣味

「阿地、昼飯だぞ?」


 俺は本日の昼食担当だったので、軽くホットサンドを作ったのだが、焼きたてで食べてほしいので妹を呼びに来ている。いつもなら俺を眺めながら出来上がったらすぐに食べる阿地が珍しく自室に籠っている。部屋に籠るのはともかく、昼食はきちんととってほしいので呼びに来た。


「わわわぁ……!? はい! すぐ行きます!」


 そんな声が聞こえてからドアが開いた。それからドアが閉まるまでに何かモーター音が聞こえたのだが一体なんの音だろう?


 そう考えていたのだが、阿地に手を引かれそのままキッチンに向かった。


「いやあ、お兄ちゃんの作ってくれた料理は最高ですね!」


 そんなことをいいながら食べているので満足しているならいいことだ。しかし、珍しく部屋に引っ込んでいたのが気になって訊ねてみた。


「今日はどうかしたのか? いつもならお昼が近くなったら出てきているのに」


「ああ、筆が乗って……いいいいいえ!? なんでもないです!」


 何をしているのか知らないが、本人が言いたくないならそれでいいか。無理矢理聞き出すようなことも無いだろう。誰にだって秘密の一つや二つはあるのだから、それを問いただすのは必要の無いことだ。違法でないなら尋問じみたことをする理由なんて無い。


「そうか、まあ食べるといいぞ」


 そう言うと、阿地は美味しそうにホットサンドをいくつも食べていた。美味しそうに食べているのに水を差す気は無いのでそのまま食べて貰って、お茶を出した。


「落ち着いたか?」


「はい、取り乱してすいませんでした」


 そう答えられるということは大した問題ではなかったのだろう。安心して俺が食器を片付けてから二人でお茶を飲んだ。その間、何故か阿地がいつもより俺の方を見ていることが多いような気もしたが、いつも見つめてくるので気にしても仕方ないと思い黙っていた。


 十分に食べた後、阿地はいくらか話したらすぐに部屋に帰っていった。何か熱心にやることでもあるのだろうか? まあ本人の問題だし、いいんじゃないかなとしか思わない。


 自分も部屋に帰って、暇なのでPCを起動した。動画サイトでも見るかなと思いながら電源を入れている途中、部屋に置いている共有ストレージのアクセスランプが点滅していた。


 はて? 何か更新でもあっただろうか? そう思って該当ストレージをPCで開くといつも通りのファイルが並んで……一つ『印刷済み』というフォルダがあった。なんだろうと思いながらフォルダを覗くと中にはPDFファイルがあった。共有しているんだから問題無いだろうとそれを開いてみたのだが……


「なーんで兄妹モノのラブロマンス小説が入っているかねえ……」


 違法コピー品では無い、きちんと著者名が書いてあるからだ。その著者名には間違いなく妹の名前が刻まれている。デジタルタトゥーでも作りたいのかなと思いつつそっとファイルを閉じてみなかったことにした。


 誰にだって見られたくないことはあるよな。ただ気になることは、フォルダ名が『印刷済み』であり、阿地の部屋からモーター音が聞こえることだ。そう言えばアイツの部屋はプリンターもあったなと思いだした。


 自分で印刷して読むのは自由だが、兄としてはそれを配布して黒歴史を作らないことを祈るばかりだ。

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