057_妹と雑談回
「お兄ちゃん、特になんにも無いですが退屈なのでイチャつきませんか?」
「ついに開き直ったな……せめてなんでもいいから理由を引っ張り出せよ……」
いよいよ理由を考えることも諦めた我が妹の阿地に対してそう言う。言っても無駄なのは分かってるんだがな。
「いいじゃないですか、私がお兄ちゃんのことを好きなこと以上の理由が必要ですか?」
「普通は何か理由があるもんなんだがな……」
「理由なんて一々考えるだけ無駄ですし、そもそもお兄ちゃんの事を好きなのに理由が必要だとは思いませんよ」
兄妹愛であればギリそれも理解不能ではないんだが……それはダメだろという一線を越えようとする妹ほど厄介なものはない。理屈をいくら説こうが感情で反論されたら答えようが無い。お気持ちに理論は通用しないのだ。
「まあまあ、せっかくですし私とお茶でも飲みながらお話ししましょうよ、そしていい感じになって同じ部屋に入って……」
「はいストップ、健全な青少年の教育に悪い話はするな」
「いいじゃないですかぁ……そもそも中学は義務教育なので多少無茶をしても退学になりようが無いんですよ」
「お前本当に手段を選ばないな……確かに義務教育に退学の概念は無いけどさあ……」
ルールの穴を突いているような気がしてならない。
「そもそも、お兄ちゃんを好きであることに理由なんていらないでしょう? だから何をやったって許されるんですよ、愛とはそう言うものなのです!」
微妙にドヤ顔でいいことを言った雰囲気を出しているが、本当に内容がアレなので雰囲気だけ良さそうにしているだけだ。そこまで自信を持って言われると無いようにも根拠があるんじゃないかと思えてしまうのが恐ろしい。
「理由がないと対処のしようがないんだがなぁ……つーかそこまで必死になるようなことでもないだろ」
何しろ相手が俺だ、そんなものたかが知れているだろうに。阿地の要求に応えられるほど立派な人間ではないよ。
「構いませんとも! お兄ちゃんは私のなすがままにされていれば十分……」
「頼むから頭の中ピンク色に染めるのはやめてくれないかなあ!」
「でも脳って基本ピンク色じゃないですか?」
「物理的な話はしてない……比喩って知ってるか?」
いやまあ確かに脳は一般的にピンク色で書かれることが多いけどさ、実物なんて見たこと無いしなあ……
「とは言え、お兄ちゃん相手なら比喩的なピンク色っぽいことも構わないんですがね」
「やめろ……俺たちは健全で誰が見ても問題ない兄妹なんだ……勝手に十八禁の世界に引きずり込むんじゃない」
「でも健全な青少年の癖をねじ曲げるのって楽しくないですか?」
「お前とことん歪んでんなあ」
とまあ本日の記録はここまでにしておく、その理由は察してほしい。あくまでこの話は全年齢対応なのだ。




