054_妹閑居して不善を為す
「お兄ちゃん、暇ですし配信でもしませんか?」
「何でまた急に……配信って何をするんだよ」
「○○をピーしてXXXをホニャララしてキューーンを○△□をすると(無音)が出来るのでソレを実況しようかと」
「ほぼ全部の要素を伏せないといけないような発言はやめてくれないかなあホントにさあ!」
何処をどう切り取ってもアウトな妹の発言に恐怖する。しかもエロいという意味での18禁ではなく、刑法にガッツリ引っかかりそうな知識だったので全部伏せ字にした。そんな危なっかしいことをして人生チキンレースなんてする気はさらさらない。
とりあえずしばらくは家庭内の有機物を定期的に確認しておこう、普通に怖いんだよなあ……
「じゃあオンカ……」
「マジで社会問題になってる話題を出すんじゃない! お前それは一線を越えてるぞ! 笑える問題と笑えない問題があんだよ! ラインを考えろラインを!」
危ねぇ……コイツは危なっかしいことを言い過ぎだろう。俺が何か無難な提案をしないと……無難……まだコーラにお菓子入れて噴き出すのを見ている方が平和だな。擦られつくしてすり切れたネタだけど傷つく人がいないだけマシだったんだな。
「じゃあ妹の手作り料理とかどうだ?」
「私の料理配信ですか? そんなもんどこに需要があるんですか?」
俺はこの世の真実を阿地に伝える。
「安心しろ、女子中学生ってだけで十分価値は出るから、多分お前は納得しないだろうがそれが現実なんだよ」
「お兄ちゃんも大概なことを言いますね、人がいかに救えないかをそんなあっさり言うんですか大体私はお兄ちゃん推しなんですけどね? 燃えないんですか?」
「大丈夫だ、見てる方も発言内容なんて気にしてないから。女子中学生って属性と制服を着て料理してるだけで勝てるぞ」
「お兄ちゃんも言ってることがおとなしいだけで、私よりよほど炎上しそうなことを言ってるんですけど……」
それから一拍おいて、阿地はスマホとスマホスタンドを取り出してキッチンに向かった。
「じゃあまあ、お兄ちゃんは楽しみにしておいてください」
そう言って楽しそうに料理をしていた。時折カメラの位置を調整しているのは慣れているんじゃないだろうかと不安になるくらいだ。しばし妹の料理を見守っているとオムライスが運ばれてきた。
「じゃあ食べましょうか。たまにはこんなのも悪くないですね」
そう言って阿地は楽しそうにオムライスを口に運ぶ、俺もそれを食べたが確かに絶品と言えるほどの味だった。ご丁寧に上にケチャップでハートマークが書いてある意味は深く考えないようにする。
そうして結局、阿地がその動画をアップロードしたかは不明のまま、寝る時間になった。その時にスマホを確認しようとしたときだ、ファイル転送の確認が来た。差出人は妹、隣の部屋からこちらに送ってきたいようだ。何か分からないが受信を選んでしばらく転送されるのを待ってから、送られてきた一つの動画ファイルを見た。
なんというか……料理中の妹の際どいショットを集めた動画だった。カメラをちょくちょく動かしていると思ったが、こんなものを撮っていたとは……
ピコン
そんなことを考えているとメッセージが一つ届いたので読むと『お兄ちゃん以外には見せないのでご心配なく』と阿地から送られてきていた。なんだか真面目に考えていた自分が馬鹿馬鹿しくなったし、暇つぶしなんてものはこの程度の事で良かったのだろうと納得をしてその日は寝た。




