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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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052_妹と読んでもいい本

「お兄ちゃん、退屈なので何か面白い本でも貸してくれませんか?」


 おっと、難しい問題来たな。どう答えたものか……


「悪いがほとんど電子書籍だから貸せないんだよ」


 厳密に言えば物理的な本も幾らかある。ただ、読んで初めて知ったのだがレーティングも何も無い本でもエロ・グロが普通に突っ込まれていることだ。初めて読んだときはゾーニングを間違えたんじゃないかと思ったほどだ。


 そんな本が普通にあるので阿地に貸すのは気をつかう。そうなると無難なのはラノベになるわけだが、自分の本棚のラノベコーナーを見せるのはどこか気恥ずかしいような気がする。


 実は妹モノのラノベもあることは内緒だ。


 とにかく見せられたもんじゃないので当たり障りの無い本という注文は難しい。そのせいで貸せないとしか言えないんだよな。


「お兄ちゃん、電子書籍を意外と買ってるんですね? あれってクレジットカード無しで買えましたっけ?」


「コンビニでプリカ売ってるからそれでチャージして買ったんだよ。割と便利だぞ」


「ほう……えっちな本も買えるんですか?」


「登録した生年月日で判断してるから無理だよ」


「もしかして……お兄ちゃん、試したことあります?」


「勘の良い妹は嫌いだよ……」


「別に恥ずかしいことでもないでしょうに、そういう本を買ってる人なんて珍しくないですよ」


「それでもレーティングやゾーニングがあるんだから配慮しろ、俺たちは配慮して幼稚園児が規範としても問題無いような生活を送りたいんだよ」


「えぇ……幼稚園児が私たちの生活を見本にしてたらドン引きですよ……」


 そんなことは分かっている。ただの心がけの話だろうが。実際判断が付かないような年齢の子供が見本にしていいものじゃない。


「それで、話を戻しますけど、何か面白い本は無いですか?」


「うーん……ああ、アレがあったな」


 俺は一つのシリーズを思いだした。某作家の全集なのだが、エンタメよりだしエロ方面はほぼ無いので問題無いだろう。多少のグロ描写はあるがそこは文字なので想像力がよほど豊かでなければ問題無い。


「いい感じのモノがありますか?」


「ああ、思いついたよ。持ってくるから待ってろ」


 そう言ってから俺は部屋に戻り、その作家のシリーズをまとめて持って阿地のところに戻った。


「ほら、これなら読んでも問題無いから安心しろ」


 そう言って文庫本を何冊か渡した。全年齢とまで言えるかは微妙だが、コズミックホラーなので人間の生殖描写なんて記憶の限り無い。安心して貸せる本は貴重だなと思う。


 阿地はそれに満足したのか、本を持って部屋に戻っていった。たまには本を読むのだって悪くない、そう思いながら俺はリビングでコーヒーを飲みながら優雅に過ごした。


 なお、その日の夜、阿地が神妙な顔で部屋をノックして『言い回しが難しすぎて分かんないです』と俺の貸した本は返却されてしまった。原作がパブリックドメインになってるから年代物ではあるのだが、あっさり読むの諦めるとは思っていなかったので少しだけ悲しかったのだった。

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