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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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046_妹を詮索しない優しさ

 その日キッチンで食事をしていると片隅にPCが置いてあるのに気が付いた。作業中だったかな? そんなことを思いながら食事を終えたのだが……


「ねえお兄ちゃん、ちょっとお願いがあるんですけど……」


 そんなことを我が妹が珍しくも言ってきた。いつも気軽に無茶振りをするので、真面目な顔をしているって事はよっぽどなんだなと思った。


 それを放置できるほど強くはないので『何があった』と聞くと、なんでもPCが壊れたのだという。お金ならないので修理しか無いなと思いながらどう壊れたのか訊ねると、ネットからダウンロードした動画ファイルを開いたら全画面に『ウイルスに感染しています』と表示されたのだと言う。


「それ、典型的なサポート詐欺じゃ無いか?」


 そうハッキリ言うのだが、困っていると言って譲らない。仕方ないのでPCを見せてもらうと、スリープから復旧させると全画面に警告表示が出ていた。今もこんな古典的なウイルスがあるんだなと妙に感心しながら電源ボタンを長押しした。


 プツリと電源が落ちて再び起動させると綺麗さっぱりあのうざったい画面は消えている。


『これでいいのか?』


 そう阿地に尋ねると、タッチパッドで操作して問題無いのを確認すると『ありがとうございます! マジで助かりました』と言う。さて、問題はここからだ。


 原因を特定しなければ同じトラップを踏むのは目に見えている。嫌々ながらも、何をやっているときにそうなったのかを阿地に尋ねた。


 すると途端に言葉を濁す。画像を開いたときにその画面になったと言っていたが、多分アレだ、十八禁のサイトに入っちゃったんだろうなと察した。だから深く聞くのも可哀想かと思い、『コンプライアンスは大事にしろよ』とそれとなく言って察してもらうことにした。


「はい!」


 笑顔で言うので多分問題無いだろうと判断してその場を離れようとした。その時阿地のPCのデスクトップがふと見えた。そこには『お兄ちゃん保管庫』というフォルダがあった。


 しばし思案したのだが、触らぬ神に祟りなしと言う言葉もあるものだし、わざわざそれにツッコんで妹の反応を楽しむ気も無い。見なかったことにしてそっとその場を離れた。


 それから同じ轍を踏んではいないようだが、なんとなくあのフォルダの中身は気になってならない事になった。

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