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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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044_妹の無理難題

「お兄ちゃん、何か面白い本は無いですか? 退屈なんですよねえ……」


 俺は妹の問いかけにどう答えるか悩んだ。本自体は結構あるのだが……


「マンガじゃダメなのか?」


「たまには字ばっかりの本が読みたいんですよねえ……」


 そんなことを言われて頭を抱えた。いや、小説だって結構な数はあるんだが……結構無意味にベッドシーンが挟まれたりしている。洋画のサービスシーンじゃないんだからノルマみたいに突然そんなもんを差し挟まないで欲しいと思うのだがな……


 とにかく妹相手にかすのは憚られた。健全な本と言えばラノベ……も最近一線を越えるものがあるし気まずいよなあ……


「無いんですか? お兄ちゃんって結構本を読んでるでしょ?」


 そこで俺は苦し紛れに「ほら、電子書籍メインだからさ、貸せないんだよ」と言った。実際電子も多いが紙のものも多い。


「むぅ……お兄ちゃんの部屋に入ると本の背表紙が見えるんですがね」


「入ってくるなとは言わないけど、詳細に家捜しをするのはやめてくれないかな」


 当たり前のように兄の部屋を熟知している妹は嫌だな……プライバシーはどこに行ったんだよプライバシーは!


「大丈夫です、寸分違わず元に戻してますから! 私が入ってもお兄ちゃんは気づかないですよ!」


 自信満々にそう言われると『そうかな?』となんだか思えてくるので不思議だ。


「次からドアを開けると破れる封印でもしておこうか?」


「そういう私の侵入を邪魔する行為はやめて欲しいんですけど? お兄ちゃんは妹に好意を持たれるのの何が嫌なんですか?」


「少なくとも好意があれば家捜しが許されるなんて事は無いと思うがな……」


 悪意が無いから何をやっても許されるとでも思っているんだろうか? いや、よく考えたら悪意が無いってことはない気がするな。深く考えるだけ無駄だったよ。


「と言うわけで私の期待に答える本を持ってきてください」


「お前はかぐや姫か?」


 そんなことを言いつつ部屋にむかって、何か健全で面白い本がないものだろうかと本棚を見渡した結果、そう言えばこの作者エロとは無縁だったなと思い出すものがあった。


 それを持って阿地のところに行き、一冊を手渡す。


「全集ですか……あんまり冊数が多いものは……いえ、お兄ちゃんの選書なので信じるとしましょう」


 俺は阿地にコズミックホラーの巨匠が書いたホラー全集を一冊渡してその話は終わらせた。しかし問題が無いわけでは無い。それは本を渡してその翌日のことだった。ドアを開けるとハンカチの上に一冊の文庫本とメモが置かれていた。


「文体が読みにくいです……」


 それだけ書かれたメモを読んで、『そりゃパブリックドメインになるくらいには昔の作者だからなあ……』となんだか納得してしまった。

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