042_妹からのお題
「お兄ちゃんは男女の友情ってあると思いますか?」
「無いだろ」
個人的な感想だがどちらも下心の無い純粋な友情があるとは思えない。男女を集めるとどこか歪むんじゃないかというのが俺の考えだ。そんな回答をすると阿地は次の疑問をぶつけてきた。
「じゃあ兄妹の友情は成立すると思いますか?」
「しない、兄妹なら家族愛以上の感情はないだろ」
家族なんだから家族愛くらいはある。それは否定しないが、友情とはまた違うんじゃないかと思う。一応家族愛なので愛情と呼んでいいのだろうか?
「ちなみに兄妹での男女の愛情は存在すると思いますか?」
それが聞きたかっただけだろと思いつつ『無いだろ』とバッサリ回答した。友情と愛情と、そのどちらとも違った感情では無いかと思う。
「存在したっていいじゃないですかー……家族愛は愛情の一種だとは思いませんか? 男女の愛情とはちょっとだけ違いますけど愛情には違いないでしょう?」
「じゃあ家族愛があるからそれ以上は無い、そう言えば満足か?」
しかし阿地からすれば不満らしい。当然のことを言っただけなのにどうしてここまで否定されているのだろう?
「お兄ちゃんは妹というものの貴重さを分かっていませんね! 兄はいても妹のいる兄の方が数は少ないんですよ!」
そら男女どちらかの年下弟妹がいるならどっちも合わせた数より妹のみがいるやつの方が少ないに決まっている。詭弁というか、数字は嘘をつかないが嘘つきは数字を使うのみ本のような理論を振りかざさないでほしい。
「分かった分かった、兄妹愛は多分特別なんじゃないの、知らんけど」
「『知らんけど』は余計ですよ……断言してくださいよそのくらい……」
だってなあ……一体何を期待しているというのだろう?
「お兄ちゃんはもう少し妹相手に恋愛感情を持ってくださいよ! 兄妹の恋愛って素敵でしょう?」
「言うほど素敵か?」
そんな素朴な疑問に対し……
「素敵です! 深く考えたら負けですよ! 根拠はギャルゲーに妹がヒロインとして定番だからです!」
「ギャルゲー基準で世の中を語るな……」
そんな言葉もどこ吹く風で阿地は延々と妹の素晴らしさと屋良について語る。呆れながら聞いていると、それが伝わったのかもう少し妹のことを考えろと言われてしまった。理不尽この上ないと思うのだが、そのへんどうなのだろうか?
「とまあそんなわけで、お兄ちゃんも妹に恋愛感情を抱いてほしいわけですよ。そこで私は『ダメですよ……兄妹なのに……』と言うので、お兄ちゃんはそれに上手い台詞を返して一線を越えるんです」
「大喜利みたいな事言ってんな。落語家を集めたような絵面が思い浮かぶんだが……」
前振りと回答を考えるとかお笑い芸人か何かのすることだろ。
「お兄ちゃんはもっと反射的に妹が望む答えを出せるようになってくださいって言ってるんです。まったく……これは私からの宿題ですよ?」
そんなことを言って風呂場に行く阿地、その時に『ここで私が期待していることを考えてください、なに、簡単なことです』などと言うので阿地がいない間に考えていたのだが、シャワーを浴びていた阿地が『お兄ちゃん、覗きに来て欲しいと言うのが分かんないですかねえ、初歩の初歩ですよ』と言いやがったのにはイラッと来たのはここだけの話にしておこう。




