039_妹と朝のオススメ
「お兄ちゃん、ギャルゲしましょう!」
「本日第一声がそれってお前終わってんな……どうせ妹がヒロインなんだろ?」
いつものことなので今更気にしないが懲りないやつだと思う。妹モノを妹に勧められる兄の気持ちも考えて欲しい。そもそもテレビにギャルゲのためのゲーム機が繋がってる時点でおかしいんだよ、なんでデジタル化したテレビが当たり前なのに、ギャルゲ全盛期のものをプレイするためだけにアナログ入力があるものを残してんだよ……
「いいじゃないですか、今日は良いものが届いてるんですよ? 何がいいって妹がヒロインとして有名なゲームなんですよ? 今時は妹をメインヒロインに据えたのが少ないんですよねえ……だからスマホゲームが嫌なんですよ」
「しょうがないだろ、キリスト教圏で兄妹モノが広く認められるわけ無いんだから。後は俺は別にそれが嫌って訳じゃないからな」
あとスマホゲームにも妹ヒロインはいる。行ったら絶対重課金しそうだから言わないけどな。
というかだ、コイツは妹にこだわりすぎだろ。某RPGの第六作、それをプレイしているので思わず何でレトロゲーをプレイしているのか聞いたら物語序盤が妹との二人暮らしだからと迷わずに言いやがった、それはまだしもその辺の事情が明らかになったあたりで、実は妹じゃ無かったと判明したところ、魔王も倒さずピタリとプレイをやめたある意味清々しいわかりやすい。
「もう少し昔のゲームをスマホに移植してくれませんかねえ……最悪ガチャ課金でも妹が出るまで引きますよ?」
「そうやって当たりが出たらガチャをやめる人が多いからやらないんじゃないか?」
「ぐぬぬ……もっと妹ヒロインの素晴らしさを布教しなければなりませんね。お兄ちゃん、私の部屋に来ませんか? 珠玉の妹ゲーが揃っていますよ」
一応美少女に「部屋に来ない?」と誘われる形なんだが、阿地が妹ということをぬきにしても誘い文句として妹ゲーを持ち出されても全くときめかない。むしろがっかりするほどだ。
「別に妹の趣味に口出しはしないから俺を沼に引きずり込もうとするな。俺はその沼で泳げないから沈んでいくんだよ」
妹の沼で喜々として遊んでいる阿地のようには慣れないというのは分かっている。そんなもんだとは思うが、むしろ楽しめている妹の方が常識からずれているんではなかろうか?
「くぅ……お兄ちゃんが妹ゲーの沼に沈んでいく姿が見たいんですけどねえ……まずは全年齢から試してみませんか?」
「まるで全年齢以外を持っているような発言をするな、お前全年齢向けしかもってないだろ?」
いろいろ都合があんだよ、危険な発言はやめろっての。
「そうでしたそうでした、全年齢のものしか持ってないですね。まあ後にPCに移植された作品の原作は持ってますが」
まあ……ギリギリセーフということにしておこうか。にしても休日朝の話題がギャルゲーって時点でどうかと思うがな。朝一で妹にギャルゲーをやろうと言われた兄の気持ちを考えような?
そんなこんなでくだらない発言をしながら休日は過ぎていった。阿地は朝食中に妹の素晴らしさを語っていたが、俺にはさっぱり届かない。妹がいると妹ヒロインを受け付けないのはおかしいのだろうか? そんな哲学的なことを考えながら貴重な朝を過ごしたのだった。




