表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/49

027_妹は冷静になれない

 人が平和な朝を満喫していたのだが、そう言ったときに限って割り込みが入るのはどうしてだろう? 俺はただ単にトーストとコーヒーの朝食を食べていただけだったはずなんだが……


「お兄ちゃん! 早く! アレを退治してください」


 現在いるのは妹の部屋、目の前には黒いあの虫が居る。


「はいはい、さっさと駆除するよ」


 そう言ってから殺虫剤を吹き付けた。わずかにバタバタした後、すぐにピクピクと動きを止めた。虫風情が科学の力に勝てるわけがないんだ、人間に勝てるとでも思ったか。


 それから使い捨てのニトリル手袋を付けて、ティッシュ数枚ごしに死骸を拾って生ゴミのゴミ箱に入れた。


「はいおしまい、次から騒ぐんじゃないぞ」


「騒ぐに決まってるじゃないですか! てかお兄ちゃんしれっと駆除に慣れすぎじゃないですか?」


「キッチンの掃除にあの虫はつきものなんだよ。こうして騒ぐから言ってないだけで結構キッチンに湧いてるぞ?」


「ヒィッ……怖くなるようなことを言わないでくださいよ! あんなのに慣れたくないですよ!? 怖いだけじゃないですか」


 混乱している阿地を放っておいて手を洗い食事に戻る。冷めてしまったコーヒーを温めるためにマグカップをレンジに入れてしまう。コーヒーの味にこだわるやつなら絶対にやらないだろうが、生憎そこまで拘りなんて持っちゃいない。


 レンジで温まるのを待っている間に妹が来た。そろそろと入ってきているのでビビりすぎじゃないかと思う。そんなに気にするようなことでもないだろうに、たかが虫一匹を気にしすぎだろ。


「お……お兄ちゃん、もうあの虫は居ませんよね?」


「いないよ、というかアレは居てもそうそう見えるところに出てこないから安心しろ」


「めっちゃ安心できないやつ! 出来ればその情報聞きたくなかったですよ!」


 細かいことを気にするなあ……なんのために人類が殺虫剤を開発したと思ってるんだ? それとも家の中にDDTでもぶちまければ満足するのだろうか?


 インスタントコーヒーを阿地のマグカップに入れてお湯を注ぐ。


「コーヒー入れるけど、砂糖とミルクは?」


「ミルクあり、砂糖無しで」


「りょーかい」


 その通りにコーヒーをいれて『落ち着け』と言いながら阿地の前に置いた。少し飲んでから息を吐いて落ち着いたようだ。カフェインでも飲んで落ち着いてくれたようで何よりだ。


「阿地、世の中を綺麗なものだと思いすぎだろ。虫くらい一々気にすんなよ、割と自然ならどこにでもいるもんだよ。たまたま見えるところに出ただけなんだから淡々と駆除して終わりだよ」


「お兄ちゃんは割り切りすぎじゃないですか? 正直冷静な対処はキュンとしましたが、どうにもその手の先にいるのがあの虫だと思うと素直に喜べないんですよ」


 細かいことを気にするやつだ。虫の駆除で一々駆除する虫が何であるかがそこまで気になるか? 農家が芋虫を駆除するのと何も変らないだろうに。


 そこでふと、からかってやりたくなって言ってしまった。


「ま、そこまで怖いならまた出たらいつでも駆除してやるよ、メンタルケアまでしてやるから安心しろ」


「ふぇ!? メンタルケアまで!? と言うことはあの虫が出ればお兄ちゃんが……フヒヒヒ……」


 俺、なんだか酷く安直な発言をしてしまったような気がするが、そうそう部屋に出ることもないだろうし気にするようなことでもないか。


 そう考えその時は話が終わったのだが、その晩、キッチンに置いてあった虫用のトラップを阿地がいくつか部屋に持って言っているのを見た。それに引っかかった虫でも対処しなきゃならないのか……触らず捨てられるのが売りの商品だろうに、メンタルケアまでやると言ったのは失言だったなとその時になってようやく失敗だったと学んだのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ