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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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026_メイデン(妹)ワークス

『これは、兄と妹の純愛で、少しだけ禁じられたお話』


 俺は思わず阿地に言わざるを得なかった。


「なあ、せめてリビングでWEB小説を書くのはやめてくれないか? いやそもそも書きながら朗読はやめてくれないかな?」


 なんつーもんを読ませているんだ。一応前にも見せてきたことがあったのだが、阿地の言うことを信じるなら全年齢対応の作品だから大丈夫なのだそうだ。


「もうちょっとお兄ちゃんは私に優しくしてくれてもいいと思うんですよ。妹が小説を書いていたらそれを読んで褒めそやすものだと思うんです!」


 書いてる内容がなんだろうと妹が書いてるからって認めろって言うのはちょっと違うんじゃないか? 頑張っては居るんだろうけどな……


 そんなことを考えていると、阿地はおもむろに手元にあった鞄から小さな箱状のものを撮りだしていた。何をしている気かと思うと、カーテンをしゃっと閉めて部屋の明かりを消した。真っ暗な状態の部屋の中、真っ白い壁に明かりが点いた。


 それはプロジェクターで投影されたデスクトップであり、妹の書いたご立派な小説がでかでかと表示されていた。これで見えないと言うのは無理があるだろう。


「さて、それでは私の大作にお付き合いいただきますよ」


「まだ一話だって言うのに大作宣言は完結しないフラグじゃないか?」


 そこに映されたのは、世界シェアトップのワードプロセッサでそこそこのスピードで迷いなく文字が続いていく。


 迷いなく書き足されていく文字のスピードには感心するが、書いてある内容が余りにアレだ。こんな妹に都合の良い兄が居るのだろうか? それとも少女漫画か何かではそれなりに出てくるのだろうか?


 それにしても、クリスチャンがほとんどの国で作られたソフトが、極東の島国で妹モノを書くのに使われているのを見たらどう思うだろうか?


 なんとなくソフトが余りに役不足な気がして仕方ない。もう少し真面目な文章を書くのに作られてはずなのに、しれっと兄妹モノを書かされている、ある意味原作改変のようなものだと思う。


「さて、これは第一章の冒頭なんですが、参考資料としてお兄ちゃんは私の隣に座ってください」


「は? え!? なんでそうなるの?」


「そりゃ妹モノなんだから妹の気持ちを理解する必要があるじゃないですか」


「作家は体験したことの無いものでも書けるのがいいところだと思うんだがな……」


 とは言いつつも一歩も譲る様子がないので阿地の隣に座ったら、いきなりキーボードをすごい勢いで打ち出してきた。


 今までの速度はなんだったのかと言うほどの早さだ。


「んん~……やっぱりお兄ちゃんが居ると速度が全然違いますね」


 そうして信じがたいことに、WEB小説初めてのはずなのに、今日だけで文字カウンタが一万字を超えていた。書き終わってから『ね? こういう時のためにお兄ちゃんは必要なんですよ。


 そう言って眠そうにしていた。PCをつけっぱなしでソファにもたれかかっているので、PCハマる見栄なのだが、その本文を読むと兄として問題があるような気がしてならないので黙っておくことにした。


 ようやく夕日が出てきた頃に目を覚まし、キッチンに居た俺に『お兄ちゃんPC見ましたか!?』


 そう思いきりビビりながら聞いてきたので『見てないから安心しろ』と言ったのだが、なんとなく内容を全部見たら怖くなるような話になっていくのだろうなと思わずにはいられなかった

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