025_妹が普段ネットで何を見ているのだろう?
どうしてこうなったのだろう? 俺はただ暇つぶしにPCを起動してスクリプトを書いていただけだったはずなのに……
「お兄ちゃん、そろそろ我慢の限界なんじゃないですか? ほらほら、お兄ちゃんが本当にしたいのはえっちなページを見る事じゃないんですか?」
「なんでそう思うんだよ……」
倫理観をどこかに忘れてしまったとしか思えない妹に反論する。コイツが俺の部屋に我が物顔で来たときに、英語のリファレンスを見ていたところ、『お兄ちゃんは洋物が好きなんですか?』と言われたときから始まる。真っ先に出てくる発想が終わっているとしか言いようがない。
「どうせお兄ちゃんだって私の貧相な体よりバンバンなボディの方が好きなんでしょう? 参考にしてあげますから素直に好みのページを開いちゃってくださいよ」
んなサイトを妹の前で開けるはずがないだろうが。そもそも年齢ぬきにしてもそんな気分ではなかったので部屋に居座る阿地が非常にうざったい。よくこんな考えが浮かんだなとある意味感心するほどだ。
というか、阿地の体型は貧相とは言えないと思うんだが、それを言うと大胸筋を強調してきそうなので言わないでおこう。もし言ったとしたら際どい服を常時着かねない。いくら俺くらいしか見ないにしても限度ってものがあるからな。
外に行くときは着替えるにしてもはしたないというものがある。妹にそんな安易な事はさせたくない。
「おーい、お兄ちゃん、聞いてますか?」
「聞いてるよ……そのイカれた発想をどうにか健全に出来ないか考えてたところだ」
「私の愛はお兄ちゃん相手なら狂気と呼んでもいいですから。そのくらい妹に好かれて気分が良いでしょう?」
自分が勝手に考えて、それを押しつけた相手が喜ぶに違いないと考えるのは自己中も良いところだと思うが、冷静に考えるといつものことなので今更それをグダグダ言っても仕方ないか……
「まあ行動に移さなきゃ内心の自由は認められるべきだとは思うけど、公言する自由はないって分かってるか?」
「私は有言実行ですから、それが不安でしたら不言実行の方が良いですか?」
「比べる対象が最悪だな……確かに有言実行の方がマシだよ……」
不言実行って夜中に布団に忍び込んできそうなので怖くて仕方ない。昔の戦国武将は寝首を掻かれないようにこんな気持ちで寝ていたんじゃないだろうか?
そうして妹は俺のPC画面をじっと見ている。さてどうしたものか……と思っていたが、一つひらめいた。
そう言えばどことなく阿地に似たグラビアアイドルがいたな……申し訳ないがそのグラドルのページを開いてっと……
そのページをじっと見る。全年齢対応の水着グラビアなので何の問題も無い。そのページを開くなり阿地のやつはこちらに近寄って目を皿にして画面を見ていた。そしてどこか満足した顔で『本物がいつでも待ってますからね?』と言って部屋を去って行った。
アイツの言う『本物』が何かなのは聞かずにおこう。適切な距離感大事、ホントにね。
そうして何とかその日は回避に成功したのだが、翌日、帰宅して机を開けると妹の水着写真が入っていた。スマホで撮った写真を印刷したもののようだ。ご丁寧に部屋に入ってきておいていったのか……
俺はその写真を机の引き出しにある家族写真のアーカイブにまとめて、そっと机にしまった。
その晩、夕食を食べている間ずっと無言で熱っぽい視線を向けてきていた妹に、正直言って少しの恐怖を覚えたのはここだけの話だ。




