019_妹とギャルゲー
今日はリビングでコーヒーを飲んでいるわけだが、問題はテレビに映っているものだ。
所謂、ギャルゲーと呼ばれるコンシューマーゲームの画面が映っている。ソシャゲで無いゲームは久しぶりに見たような気がする。そんなことより重要なのは、そのゲームは妹がメインヒロインだと言うことだ。
いや、正確に言えばメインヒロインは別にいるのだが、妹が受けたので公式が一時妹を前面に押し出して、『ヒロインは妹』などと言われているゲームだ。
「よく兄の前でそのゲームがプレイできたな……」
俺がそんなことをプレイしている妹に言うと……
「お兄ちゃんだってこういうシチュ憧れてるんじゃないんですか?」
「勝手に人の好みを決めつけるな……」
ゲームみたいに兄が大好きな妹なんて……あ、目の前に居るか。だからってなんだかなあとは思うんだよな。
妹のプレイを見ていると、あからさまに妹以外のヒロインへの対応が雑だった。あのゲーム、たしかに攻略対象以外はどれだけぞんざいに扱っても個別ルートに入るんだよな。確かに分かりやすい攻略方法だと思うが、ゲームとしてはどうなんだろう? 他のヒロインと絡ませるとシナリオが面倒なことになるって事情は分かるがな。
「ふふふ、やはり妹がお兄ちゃんと恋に落ちるのは素敵ですね」
自分のニヤけた顔から目を背けてシナリオに浸っている。好きにすれば良いとは思うのだが、兄の前でやるのはどうなんだ?
というか、人前で出来ないようなだらしない顔をするんじゃ無いと言いたいがな。
「お兄ちゃんも一緒に妹が攻略される様子を見てみませんか? 後学のために、後学のためですよ?」
「それを生かす機会があるとは思えないんだが……」
大体ギャルゲで世間を学ぶこと自体がどうかと思うぞ。本当にそれでいいのか?
「お兄ちゃんだって不朽の名作が名作たる所以を知りたいでしょう?」
「言いたいことは分からんでもないが、そのためにわざわざテレビにアナログケーブル指すのは理解出来んな……」
現在テレビにはHDMIの端子が開いているのだが、ゲーム機の都合で所謂三色ケーブル、RCAケーブルと呼ばれるものをテレビに挿している。わざわざテレビの裏に回って接続したのか、ご苦労なことだな。
「良いじゃないですか、こういうアナログの温かみって心地良いでしょう?」
アナログの温かみとかいうのはオーディオ界隈だけかと思った。高画質を追い求めたゲームでそんな温かみなんて聞くことになるとはな。
「どうせ出力が液晶なんだからブラウン管みたいに温かみも何もないだろ。それにギャルゲだと反応速度が問題になることもないだろ?」
やれやれといった風に阿地は肩をすくめて言う。
「まったく、お兄ちゃんは昔のゲームの良さが分かっていませんね。妹ゲーが大量にあった古き良き時代のゲーム機ですよ?」
「良き時代の基準を妹ゲーの数で判断してるヤツ初めて見たよ」
確かに昔は当たり前にヒロインに複数妹がいたりしたらしいけどさあ……どうなんだろうな?
「ふぅ……お兄ちゃんに妹の良さを教えるために私が通しでプレイするので隣で見ていてください」
「何で俺が……まあいいか、どうせ暇だし」
「ですです! お兄ちゃんも一緒に妹の痴態を見ましょう!」
「言っておくがこのゲーム機、全年齢対応のソフトしかないからな?」
何を期待していたのか知らんが、そういった展開は無いと釘を刺しておこう。
「はぁ……いいですか、有るか無いかを妄想で補完するのが面白いんでしょう? お兄ちゃんももう少し描かれていない範囲を想像する力を身につけてください」
少なくともテストで前提条件で使っていいとなっていないものを使ったら遭うとのような気がするんだが……それでいいのか?
そうは思いつつも阿地のゲームプレイに付き合った。コイツが妹であることが関係しているのかは不明だが、驚くほどの適切さで選択肢を選んで前妹ヒロインを攻略していった。
そのたびに妹がフヒヒなどと楽しそうにしていたので俺は死んだ目で延々と妹たちが主人公に攻略されていく様子を見ることになった。




