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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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018_妹とおはよう

 朝目が覚めた。そう、それだけのことのはずだ。だからきっと俺は昨日特別なことは無く寝たはずだし、何かがあったわけじゃない。だからきっと……自分の隣で寝ているマイシスターは幻かなにかだろう。


 というか部屋に鍵を漬けた方が良かっただろうか? 寝起きに情報量が多いことが起きたので脳が混乱している。


「ふぁぁ……あ、おにいちゃん、おはよーございます」


「おはようじゃない! え? 何で俺の横にいるの? 俺は昨日何もしてないよな?」


「そうですね、お兄ちゃんは可愛い妹が布団に入ってきたのに何も気が付かず寝ている鈍感さんですね」


 ふぅ……とりあえず何かが起きたというわけではないらしい。自分と阿地の服を見ても乱れ一つ無いので何かがあったわけではないだろう。


「というかなんでしれっと俺の横で寝てんの? え? 俺昨日お前のこと呼んだっけ?」


「お兄ちゃん、大丈夫ですか? 存在しない記憶を作ろうとしないでください、私が勝手に忍び込んだだけですよ」


「いや! 確かにそうなんだろうけどさあ……もう少し忍び込んだ事への言い訳は無いのかよ!」


「妹が兄の布団に忍び込むのに理由が必要ですか?」


「普通はやらないから考えもしないだけなんだよなぁ……」


 罰則が決められているのはそれを行うヤツがいるからであって、物理的に不可能なことに罰則が決まっていないように、妹が兄の寝込みを襲うなんて事は基本的に想定していないんだ。


「まあまあ、もう少し寝ませんか、お兄ちゃんの隣だといい感じに多幸感と一緒に眠れるんですよ」


「オレはお前の安眠グッズじゃない」


 それだけ言ってキッチンにコーヒーをいれて戻ってきた。テーブルに二杯を置いて「まあ飲め」とだけ言うと、阿地も観念したのか席に着いてコーヒーを飲み始めた。


「お兄ちゃんがいると安心して眠れるんですよね、もう少しお兄ちゃんは妹にサービスしてくれてもいいと思うんですよ!」


 その問いに対する答えはシンプルだ。


「俺がサービスするよりお前のサービスシーンの方が需要あるだろ」


「誰への需要かは聞きませんが……お兄ちゃんはもう少し自信を持ってくださいよ、なんならお兄ちゃんが私にサービスを強要したって良いんですよ?」


「需要はともかく燃えそうなことはしたくない」


「頭が固いですねえ……」


 やれやれと肩をすくめる阿地だが、このご時世にそんなリスクをとる気はないんだよ。ただでさえデリケートな生活をしているんだから、下手なことをすると抹消されかねないことを知っているのだろうか?


「しかしお兄ちゃんの淹れてくれたコーヒーは目が覚めますね。まるでカフェインをそのまま飲んでいるようです」


「ただのインスタントコーヒーをカフェインの塊みたいに言わないでくれないか? 苦労してインスタントコーヒーを作ってくれた人に失礼だろうが」


「それもそうですかねえ……でも、お兄ちゃんが淹れてくれたコーヒーは五割増しで美味しい気がしますね」


「はいはい、ありがとさん」


 誰が淹れたかがそこまで重要かね? ただのインスタントコーヒーだというのに大げさな奴だとは思う。でもまあ、心のどこかで喜んでいることも事実だったりする。


「目が覚めたなら部屋で勉強でもしてろ、俺もお前に教えられるほど勉強が得意なわけじゃないんだからな」


「はーい……じゃあお兄ちゃんお手製のコーヒーでやる気も出ましたし、宿題でも軽く片付けてしまいましょうか。それじゃお兄ちゃん、眠れないときはまた来ますね!」


 そう言って出ていく阿地を見送ってから、部屋に南京錠で良いから取り付けようかな、なんてくだらないことを思っていた。

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