161_妹と固い意志
「お兄ちゃん、私は思うのですよ、お兄ちゃんとの付き合いも長いわけですし、もっと腹を割って話しませんか?」
「俺は武士じゃないんでハラキリはちょっと……」
しょーもないことを言い出す妹にしょーもない返答をする俺、いつもの様に俺がコーヒーを飲みながら本を読んでいると、阿地が思いつきとしか思えない発言をしてきたので適当に返した。
「文字通りに腹を割ったのは某文豪くらいですよ……」
阿地もそんな話を知ってるようだ、妹が余り勉強熱心でないからといって知らないわけではないらしい。もっとも、俺は武士でも文豪でもないんでどっちみち腹は割らんがな。
「別にいいんだけどさ、いったい腹を割った話って何だよ? お前いつもくだらない思いつきばかり話すじゃないか」
「ふっ……今日は本当に有意義な話ですよ。なんと日本の社会問題を解決する……」
「その問題が少子化問題のことだったら俺は自分の部屋に帰るからな?」
「あー、そんなんじゃないですよ、ほら、日本が世界平和のために出来ることとか考えたかっただけですよ」
目が思い切り泳いだ状態でそんなことを言っているので説得力の欠片もない。は無そうとしていたないようが透けて見えるんだよな。
「あいにく、俺は世界平和がどうにか出来るなんて思っちゃいないし、好きにすればいいんじゃないか? 危険がない範囲でな」
世界を救える中学生なんてそこらにいるはずないだろうが、まあ阿地がワンチャン世界を救う異能に目覚める可能性が微粒子レベルで存在するかもしれないのは否定しないが……
「お兄ちゃんはちょっと冷たくないですか? もっとこう、富国強兵の為に人口を増やす政策とか考えないんですか?」
「確かに高尚なことを考えるのが悪いとは言わんが、手段のためなら目的を選ばないタイプだろ? お前さ」
どう考えても人口を増やすための手段が目的になってませんかねえ、確かにアウトな発言はしてないと思うが、想像力豊かな方々が勝手にキレそうな内容なんだよなあ。
「まあ、好き放題考えるのを否定はしないけど、現実と向き合うのは大切だと思うぞ? せめて法律を変えようというところから人を集めた方が良いんじゃないか?」
ソレでも随分遠まわりだし、俺らが生きている間に実現するとは思わないが、遠い未来に法律が兄妹の結婚を認める可能性が絶対に無いとは言い切れないからな。
「むむ……納得はしませんよ、納得はしませんが、議論はこれで納めてあげましょう。でもいいですか、私の願いはお兄ちゃんが私のものになることですからね? それだけは変わらないので覚悟を決めておいてくださいね?」
「お気持ちが余りにも重い……ま、言ったところで俺も恋人なんてできないだろうし、お前が心変わりするまでは付き合ってやるよ」
自分がモテるかどうかなんてそこまで自己分析が出来なくても分かることだ。どうせ阿地の考えはその内変わりそうだし、時間が解決しそうなことに出しゃばったって仕方ないさ。
「やりました! お兄ちゃんは私の固い決心が続く限り私のものです! もう一生一緒にいられる約束と変わらないじゃないですか!」
勝手に興奮してそんな妄言を言っていたが、阿地がこの先何処まで意見が変わらないかなとは、少しだけ興味がわいたのだった。




