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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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154_妹のリクエストと調理済み食材

 今日は平和な昼下がり、俺は普通に某ショートブレッドを食べていた。阿地が作った料理は大変美味しかったのだが、どうにも量が物足りなかった。


 阿地に言うのも憚られたので、部屋に戻って食べている。空腹感を満たすにはちょうどいい。いい感じに腹の中で膨らんでいるような気がしてくる。


 甘いものを食べながら、コーヒーをすする、なかなか贅沢な時間だ。ただ、味で言えば妹の阿地の手料理の方が美味しいのは間違いないがな。


 そんなことを考えてると、コンコンとドアがノックされた。食べかけをまとめて口に突っ込み、コーヒーで流し込んだ。証拠隠滅終わり、ドアを開けた。


「お兄ちゃん、今晩の料理当番はお兄ちゃんでしたよね?」


「確かにそうだけど、どうかしたのか?」


「実は珍しい食材があるので唐揚げにして欲しいんですよ」


 料理のリクエストか、珍しいものでもお取り寄せしたのだろうか?


「下ごしらえが難しくないならいいぞ」


「ヨシッ! じゃあこのお肉を切って唐揚げにしてくださいね!」


 阿地はそう言ってビニール袋を取り出した。そこには鶏肉のようなものが少し大きめに切られたものが入っていた。これなら少し小さめに切り分けて、味付けをするだけで立派な唐揚げになるだろう。


 袋入りの肉を受け取って、唐揚げ希望ということなのでキッチンに向かった。片栗粉などを付けていたのだが、そこでふと気が付いた。『何故この肉は切ってあったのだろうか?』よく考えると料理当番は俺なのだから、中途半端に切ってなくても問題無いはずだ。


 だとすると……とんでもない値段の肉だったりするのだろうか? あまり考えたくないが、阿地が金を持っているのは事実なので、いくらするか分からない肉を雑に扱うのは少々怖い。自分の事ながら、随分小市民だなと思いながらしっかり無駄なく味付けをして挙げて言った。


 そうして夕食の唐揚げは完成した。阿地がそれ以外は求めていなかったのでそれだけだ。ただ、味の方には自信がある。


「お兄ちゃん! これ美味しいですよ! 料理上手なんですね!」


 興奮してそう言う阿地に『そこまで喜んでもらえるなら何よりだ』と言いながら、阿地の皿に唐揚げを一個移そうとした。しかし、『お兄ちゃんの分はお兄ちゃんが食べてください』と言ってお裾分けを断られてしまった。


 珍しく謙虚だななんてことを思いながら食事を終えると、食器を洗って風呂に入ったわけだが、なんだか体が熱く感じて興奮してくる。風邪気味かななんてことを心配しつつ、部屋に帰ると寝ることにした。


 しかしなかなか寝付けない。調子が悪いのかと思いながらキッチンに向かい、冷たい水を一杯飲んだ。それから帰ろうとしたときだ、ゴミ箱に乱雑に紙が捨てられていた。


 何故かそれが気になったのでペラ紙一枚を手に取ってみた。


 そこに書いてあったのは……『スッポンの肉の領収書』だった。よくまあこんなことを考えつくなと妹のことを恐ろしく思いつつ、そうしてようやく肉があらかじめ処理してあった理由が分かったのだった。

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