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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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151_妹と映り込んだもの

「お兄ちゃん、今日のお昼は私が作るので一緒に食べてくれませんか?」


「え? 今日は俺の当番だから作るよ」


 妹の申し出は嬉しいが当番を気まぐれで崩されるとなし崩しになってしまうのでよくない。こういうのは決まりが大事なんだよ。


「いえ、私が作ります、ただ、出来上がった料理の写真を二枚ほど撮らせてください」


「そんな理由なら俺が作っても良いんじゃないか?」


「お兄ちゃんの作る料理は美味しいですが、見栄えをまったく考えていないのでダメです」


 にべもなく断られた。しかも理由が悲しい、ちゃんと栄養や味も考えてるのに見た目が悪いと言うだけで俺の料理を否定されにゃならんのか……


「お兄ちゃんがそこまで気にするなら明日から二日、お兄ちゃんの当番でもいいですよ、とにかく今日は私が作りますね」


 そう言うと早くキッチンに行ってしまった。何を作るんだろうかと疑問はあったが、きっと美味しい見た目もいい料理を作るのだろう。兄として情けないが妹の希望を聞くのも必要だろう。


 そうしてぼんやりキッチンに立つ妹を見ていると、次第にいい香りが漂ってきた。料理の腕はいいんだよな、人を否定しなくてもいいだろうとは思うが。


「お兄ちゃん! 出来ました、私の手料理ですよ! じゃあこのテーブルに座ってください」


 そう言って妹は『小さなガラステーブル』に食器を置いた。狭いところで二人で食べるんだなと思いつつそこに俺も着く。


「はい、それじゃお兄ちゃん、料理を見てください、軽く下を向く感じで、そうですそうです、いいですよー」


 逐一指示を受けながら視線を料理に向けるとスマホの撮影音がした。どうやら撮影が終わったらしい。そう思っていたら今度は自分の料理をスマホの調整をしながら撮ろうとしている。料理はよくある豚肉の照り焼きだ。


 カシャッと音がして撮影は終わったらしい。どうしてそんなことにこだわっていたのか疑問だったが食事をそのまま続けた。自信があったであろう阿地の料理は態度の大きさに見合う美味しさだった。


 食後、阿地にどうして写真にそんなにこだわっていたのかを尋ねた。


「ああ、クラスのグループトークに流すんですよ。人を安易に撮影してはいけないなんて窮屈なルールがありますからね、大変ですよ」


 言っていることがよく分からず、困惑していると説明は続いた。


「いいですか? 『偶然』映り込むのはセーフなんですよ。料理を見たでしょう、いい感じに光が照っていたじゃないですか、たまたま、偶然にも料理の写真を撮ったらお兄ちゃんが料理と皿とガラステーブルに映り込んでしまっただけなんですよ」


「え……そんな理由で撮影されたのかよ……」


 ものすごくどうでもいい話じゃないか、どうして俺を巻き込むんだよ。


「そして私も同じ料理を食べていて、その料理に偶然お兄ちゃんの顔が映り込んでしまう! 全ては偶然! 何の問題もありません!」


「ルールの穴を突くのはやめてあげような、頼むからさ……」


 呆れた、思った以上にどうでもいい理由だった。


「だって! お兄ちゃんのことを自慢したいじゃないですか! 私はまったく悪くない、邪悪なルールを付けた学校が悪い!」


 そこまで責任転嫁出来るのも、もはや弁護士じゃないかと思うほどのこじつけだった。結局、妹のいいように使われただけだったな。


 そしてその後、少しドヤ顔にムカついたので料理当番は変更せずに阿地に料理を作ってもらった。また美味しいのが微妙に腹立たしい出来事だった。

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