143_妹と妹道の探求
俺は朝のコーヒーを飲んでいる。
「ぐぬぬ……やはり攻略サイトが吹っ飛んだのは……」
何事も起きていないごく普通の朝で……
「クソが! なんで今の選択肢で失敗するんですか!」
当たり前の朝で……いや、認めよう、テレビに阿地がゲーム機を繋いでギャルゲーをやっている。わざわざアナログ入力端子のあるテレビで遊んでいるを見るとあきれてしまう。
お察しの通り、プレイしているのは妹の出てくるギャルゲーだ。現在思うように進まずイライラしているところらしい。
俺はそれを無視してコーヒーを飲んでいる。せっかくの朝を妹のギャルゲーで潰されたくない。
ちなみに阿地は現在、当然のように妹キャラを攻略しているようだが、ネットにも攻略情報がないので苦戦しているらしい。ネット上にもかつては情報があったのだろうが、大規模にサーバが閉鎖されて消えてしまっている。
しかし、妹の口が悪いのは訂正した方が良いのかもなあ……でもさあ、ソレにアドバイスをすることも無いだろう。本人が苦戦しているウチは静かな時間が流れるからな。
「幼なじみだかなんだか知らねーですけど、オメーのフラグは立ててねーんですよ、私のルートに入ってくるなっての」
うーん、この口の悪さ、直した方がいいと思うんだがなあ……とはいえ今更どうしようもない気はする。そのゲームの妹ルートは二週目からの隠しルートだと教えていいのだろうか? うーん……見ているだけなら害がないからいいや、頑張れよ。
そろそろコーヒーも飲み終わりそうなのだが、阿地は変わらず他のヒロインとのフラグが立ちそうになるとリセットしている。この調子だと二週目からの妹ルートにはずっとたどり着けないんじゃないだろうか?
「私は! お兄ちゃんの! ルートに! 入りたい!」
どうしたものだろう? 正論で妹ルート以外のヒロインを一度クリアさせるべきだろうか? 正直どっちでもいい気はするのだが……
「またオメーのルートですか、なんで妹のフラグが立たないんですか!」
しばし考え、放置でいいような気がしてきた。歪んでいるかもしれないが、妹が妹ルートには淹れずイライラしている様を見ているのはおもしろ……可愛いからな。
わざわざソレを壊して効率のいいだけのルートを教えるのも面白くない。阿地には頑張って妹ルートを探して欲しい。
そう考え、飲み干したマグカップを洗って食器棚に置いた。ソレからスマホを弄りながら、阿地が悪戦苦闘する様を見ているのは楽しかった。
しかし、夕食時になっても阿地がその攻略法に気づかず、殺伐とした食う気が漂ってきたので流石に教えた。当然だが『もっと早くに教えてくださいよぅ……』と半泣きで言われたのは想像の通りだった。




