015_妹と服装
今、俺は困り果てている。その原因は目の前の制服にある。いや、制服なのが問題では無い、制服らしきものと言った方が正しいだろうか?
「なあ……なんでセーラー服着てんの?」
目の前のマイシスターを胡乱な目で見ながらそう言う。いつもの学校はブレザーだし、そもそも今日は休日だ。念のために言っておくと、阿地は決して休みの日に登校するような部活には入っていない。
「いや、制服って興奮しません? 私としてはお兄ちゃんにもっと情熱的な視線をもらえるかと思ったんですが?」
「人の癖にケチはつけないけどさ、勝手に想像して決めつけるのはやめてくれないか? と言うかその服どうやって手に入れたんだ?」
「ウチの近くにセーラー服が制服の学校があるのはご存じでしょう? あそこの制服を売っているところと交渉しましてね」
「そこの生徒でも無いのに制服だけ手に入れるのはどうかと思うんだがな……」
「もしやお兄ちゃんはブレザー派でしたか、これは失礼、着替えてきま……」
「着替えなくて良いから。服装だけ変えてどうこうなんて事は無いからな」
阿地のヤツは不満げに頬を膨らませているが、こっちの好みを勝手に決められたくは無いな。というか服装で誰彼が好き嫌いを区別するわけないだろう。
しかしまあ……正直に言うと阿地のセーラー服姿は非常に似合っていた。言うと絶対に毎朝それを着てくるだろうから言わないけどな。
「じゃあいつもの服に着替えてきます……お兄ちゃんが制服フェチで無いことだけは理解しました」
「余計な理解をしなくていいから……今日は休みなんだから休みらしい服を着てこい」
そう言うと、頷いた阿地はそそくさと自室に戻っていった。それからバタバタ音がしたのでクローゼットを漁っているのだろう。常識的なファッションにしてほしいものだ。
タッタッタと駆け足の音がして妹はリビングに帰ってきた。それも意外な格好で……
「部屋着だからいいとは思うが……制服からスウェットは落差がすごいな」
今度は俺以外見ないからだろうか、完全な部屋着でやって来た。極端から極端には知るヤツだなと呆れてしまう。
「いや、このスウェットなら汚れても良いかなって思いまして」
「? ああ、そう、良いんじゃ無いか? 汚れるようなことは今日無いと思うがな」
「む……違いますよ、お兄ちゃんと『一緒に行動』して汚れてもいいようにこの服を着てきたんじゃないですか」
「ぼかせば何言ってもいいと思うなよ? 表現のチキンレースがやりたいわけじゃないんだからな?」
そんな偉い人に喧嘩売るようなスタイルはどうかと思うんだが、一応俺が余計なことをしなければ普段着なので気にするのはやめよう。
そうしてその日は過ごしたのだが、エアコンがついていてほどよい気温なのに、食事中に服を引っ張って『暑いですねえ』と露骨なアピールをしてきていたが、俺はそっと無視をした。




