014_妹とおやすみ
「お兄ちゃん、眠いです!」
阿地のヤツが全く眠気を感じさせない顔でそう言って来た。また与太話を持ち込んできたのだろうか?
「そうか、夕方には起こしてやるから安心して寝ろ」
ちなみに現在十二時半、お昼寝にはぴったりの時間だ。そうだな、妹も昼寝がしたくなることくらいあるもんな。
しかし俺の回答が不満だったようで、阿地は俺の方に近寄って言う。
「お兄ちゃん! そこは『一緒に寝てやろう』と言うところでしょうが、可愛い妹が眠いと言っているのだから膝枕の一つでもしようというサービス精神は無いんですか?」
「お前は妹だろうが、そんなもんあってたまるか」
「実妹だからこその可愛さというものがあるでしょう?」
「お前、俺たちがそう言う関係になれないのは百も承知で言ってんだろ?」
「大丈夫です、話と話の間に終わってしまえば何があったか観測可能な人はいません! バレなきゃ問題じゃ無いんですよ」
「ろくでもないことだけは考えつくんだな……いっそ小学生のどうとくの時間からやり直した方が良いんじゃないか」
ああ言えばこう言う妹だな。あくまで俺たちは兄妹だと分からせてやろうか、社会のモラルというものをきちんと履修してほしいものだと心底思う。
「はぁ……お兄ちゃんは私への優しさが足りませんね、胃に優しい成分が入った頭痛薬の半分も優しさが足りません」
「優しさの単位を頭痛薬にするな」
マジでロクなこと考えねーな。頼むから発言する前にもう少し考えてくれよ……危険な発言をされると消される可能性もあるんだぞ?
しかしまあ……眠くなるのも分からないでもない。実際気温はいい感じで、日光が穏やかに差し込んでくるので眠くなっても無理はない。
「寝たいなら寝ろ、起こすくらいはしてやるからさ」
「じゃあ寝起きにはキスの一つでも……」
「調子に乗るなよ? あとしれっと歯を磨きに行こうとするな。いや、歯磨きは良いことだが下心を持ってやるんじゃない」
油断も隙も無いな、好き放題やるんだから困ったもんだ。
「お兄ちゃん、お化粧もした方が良いですかね?」
「俺が寝込みに忍び込む前提にするのはやめてくれないかなあ!」
「えっ? 妹の寝込みに忍び込まない?」
「やらねえよ! お前の兄観が心配で仕方なくなる発言はやめろ!」
なんで妹の寝込みに忍び込むのが前提なんですかねえ……この際コイツが以前、時々見えるところに隠そうともせず妹ゲーの入った袋を置いていたことは忘れよう。わざとかどうかは知らないが、そんな露骨なアイデアを思いつかないと思いたい。今はダウンロード販売が主流になっているので阿地のPCをチェックしなければ分からないから安心できる。流石にPCの中身を見せてきたりはしないだろう。
「じゃあお兄ちゃん、来客用のお布団は隣に敷いておくので私は寝ますね」
「はいはい、前半になんだか不穏な言葉が入っていたような気がするがおやすみ」
そうして阿地は部屋に帰っていった。一応夕食の時に起こそうかと思ったのだが、ドアの前まで行ったところでうめき声が聞こえ、十八禁の香りを感じたのでそっとドアから離れてキッチンから阿地のスマホを鳴らしたのだった。




