141_妹と探求
今日は暇なのでスマホで動画を見ている。楽しいかと言われるとよくわからんが、実際スマホが手放せなくなってるなと、今更ながら思ってしまう。
悪い癖だなと思いながら動画をスライドさせてフィードを見ていく、楽しいのがいくつかに一個はあるのでやってみるもんだと思う。
そんな時、妹が人がせっかくのんびり過ごしているリビングに入ってきた。空気を読まないなあと思いつつも一応、気を遣って声をかける。
「どうした、そんな慌てた顔をして」
「いや、実はお兄ちゃんが他の女に取られる夢を見たので大急ぎで降りてきたんです」
さて、どうしたものだろう……実際動画の中には美少女のVTuberの動画もあった。勘が良いとかそんなレベルではなくよく分かっている。人類の進化の可能性を妹に感じてしまう。
「エスパーかお前は?」
「失礼ですね、ただ単にお兄ちゃんのことにだけは勘が働くだけですよ」
「あまりにも無駄な能力過ぎるだろ……」
「失礼な! お兄ちゃんのことならなんでも知りたいと思うのは妹として当然! 何一つとして責められる事なんて無いんですよ!」
当然……? なんかコイツといると感覚が鈍るが、どうも当然のことだとは思えない。というか兄になんでそこまで執着するんだよ、妹に必要なのは断捨離じゃあなかろうか?
「ふむふむ、お兄ちゃんはこういうVが好きなんですね、気に食わないのは本当ですが、お兄ちゃんの好みとして貴重な資料ですね」
「なんで冷静に分析してんの? というかその上で気に食わないんだな……」
「そりゃあお兄ちゃんを奪おうとしているんですから対応はこうなりますよ、しかし、お兄ちゃんは私が居るのによく他の女に目をやりますね」
冷え切った目でそう言うのはやめて欲しい、まるで今から処刑されるみたいじゃないか、怖いことこの上ないんだよ。
ダメだろと当たり前の感覚すら薄くなっていくのは恐ろしいことだと思う。平気でよくそんなことができるもんだと思うよ。
「ふーむ……これは私もVになった方がいいですかね」
「リスナーがドン引きするようなVになる事が確定するから頼むからやめてくれ……」
ろくでもない炎上をするのが目に見えている、そんなものを燃えるのが分かっていて見逃すのは好きじゃない。
「ドン引きって言っても、お兄ちゃんとの熱愛が発覚するだけじゃないですか? なんならお兄ちゃんのいる前提で活動しても……」
「頼むからやめてな? 本当に俺は炎上なんてしたくないからさ」
「それはフリですか?」
「なわけないだろ! マジで辞めとけっての」
そう言うと阿地は、少し考えてから言う。
「もったいないですが、お兄ちゃんの意にそぐわないことを強行するのは嫌ですから、仕方ないですねえ……」
一応のところ俺についての話は打ち切ることがで来た。妹の相手をしているといくら気力があっても尽き果てる、どうやれば気力って回復できるんだろうなと、一人思うのだった。




