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妹がラインを超えようと必死な件  作者: にとろ


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135_妹と同じ釜の飯を食う

 朝食にコーヒーを飲んでいると阿地が話しかけてきた。


「お兄ちゃん、朝ご飯にハムエッグはいかがですか?」


「ハムなんてあったっけ?」


 俺はそう聞き返すと、何故か自慢気に阿地は言う。


「お中元でもらったやつがありますから。ちゃんと毎年届くあたりお父さん様々ですねえ」


「よく言う、お前両親そろって赴任したときにニッコニコだったじゃないか」


 手のひらクルックルなのはどうかと思うぞ。


「お兄ちゃんと私だけの家になるんですよ? そりゃ嬉しいに決まってるじゃないですか! それとこれとは話が別ですよ」


 清々しいほどにろくでもない考えをしてやがる。それでいいと思ってんのか?


「細かいことは言わないでおくよ、ハムエッグが作れるなら頼めるか?」


「任せてください!」


 笑顔でそう言ってキッチンに立つ阿地、俺は今朝の食事にしようと思っていたトーストを食べずにハムエッグが出来るまで待つことにした。


 ジュウジュウといい香りがしてくる。朝に空っぽになっている腹にはなかなか心地よい香りだった。


「お兄ちゃん、出来ました!」


 そう言って皿を一枚持ってきた。そこには二枚のハムとその上に二つの卵が白身部分でくっついたものが乗っている。


「一つにまとめたのか……」


「お兄ちゃんは『同じ釜の飯を食う』という言葉をご存じないんですか? こうして同じ皿の飯を食うと言うのだって悪くないでしょう?」


「何が悪くないのかは分からんが……細かいことはいいか、食べよう」


「ですね!」


 そうして俺たちは二人で卵とハムをおかずにトーストを食べていた。なんだか妹と一緒に食っているだけで二割増しくらい美味しく感じられる。なんとも不思議な感覚だった。


「こうやって一緒に食べていると新婚さんみたいですね!」


「そうか? 今はこんなコッテコテの新婚さんなんているのかね?」


 そう言うと阿地は不機嫌な顔をしてから笑顔に戻って言う。


「こういうのは雰囲気が大事なんですよ! 実際はどうであるかじゃなくって『新婚っぽい』のが大切なんです」


 歪んだ価値観だなとは思った、恋人同士ならともかく兄妹で思うような事じゃないだろうに……自由なやつだよまったく。


 そこで阿地は醤油を目玉焼きにかけた。


「お、今日は醤油なのか?」


「ええ、お中元で着てたので消費しちゃおうかと思いまして」


 結構高いやつを平気で送れる大人の財力に感謝しつつ、二人で食事を終わらせた。それから食器を洗っていると、阿地が話しかけてきた。


「お兄ちゃん、良い朝ご飯でしたね。同じ皿の飯をつつくというのは気分の良いものです」


「それの何処が頬を染めるほど良いものなのかは分からんが、満足してるみたいで何よりだよ」


 そうして食事は終わった。しかし、翌日もハムエッグを作ると言ってきたので、詳しく聞くと、結構な量のハムが送られてきているので、しばらくは一緒に朝ご飯を食べましょうと言われたのだった。

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