134_妹の真夏の定番
「お兄ちゃん、あっついですねえ……」
「夏は暑いもんだろ……と言いたいところだが、今全力で動いているアレがなんだか分かるか?」
俺は妹の声にエアコンを指さして言った。思い切り冷たい風を吹き出しながら全力で部屋を冷やしている。何を考えているのか、十度台後半に設定しておいて熱いだなんてよく言えたな……
「お兄ちゃん、今のは水着回へのフリでしょうが! そこは嘘でも熱いって乗ってきて自然な水着回への導入をするんですよ!」
どう考えても不思議な導入じゃねえか、その流れで水着を起用なんてよく思ったな。
「いいですか、水着回をやると支持率が上がるんですよ? そんなメリットしかないことをやらないわけにはいかないでしょう?」
「誰の支持率だよ……というかそんな理由で水着を着たいならエアコンでも止めるか?」
「嫌です! そんなことしたら暑いじゃないですか」
よくその言葉が出たな、今のエアコンの温度設定をしたのが誰だったか忘れているらしい。都合よく考えるにもほどがあるだろうとしか思えない。
「そもそも俺の水着は需要ないだろ、水着が着たいなら一人で着てろ」
誰が俺の水着を見て指示するんだよ、阿地の水着ならそれなりに意味ぐらいあるだろうが、これには全く意味が無い。
「それじゃお兄ちゃんと水着でスキンシップができないじゃないですか、せっかく水着を着た肌を出すならお兄ちゃんに触れて『きゃっ』とかやりたいじゃないですか!」
「誰がそれを望むのか是非教えて欲しいな。需要と供給って言葉を知っているか?」
阿地が自分の水着に需要があると思うのは結構だが、俺は自分にそこまで需要があると思っていないので答えようがない。
「お兄ちゃんと触れあうのが需要あるんですよ! 私一人水着を着るならファッションショー同然じゃないですか、もっとこう……ほら、あるじゃないですか、恋人っぽくなる場面とか」
考えて出てきた答えがそれか……無理のあることははっきりそう言えばいいのにな。
「とにかく俺は水着を着ない、着たけりゃ自分だけでプールでも行ってくれ」
「分かりました……お兄ちゃんに水着を着てもらうのは諦めます。せっかくのチャンスだったのに」
そう一定から部屋に帰っていった。本当にプールにでも行くかどうかは分からないが、俺が水着を着る必要がなくなって安心した。
それからショートブレッドをかじりながらぼんやりスマホを見ていたのだが……
「お兄ちゃん!」
そう阿地の声聞こたのでそちらを向いた。そこには……
「なぁ?なんで水着着てんの? ここは自宅だよな?」
「水着を着るのに自宅も何もないでしょう? 自宅で着たって水着見られれば満足という需要はあるんですよ!」
開き直ったなコイツ。まあ水着は綺麗だと思う。それ以上の言及はあて避けるとしよう。
「良いんゃないか? そう言う需要はあると思うぞ」
「誰がそんな需要ですか!」
そう言う阿地の顔は笑っていた。どういう需要かは想像におまかせするが、万人受けするかはともかく、阿地は可愛いと思う人は可愛いと思う格好をしていた。




