127_妹と納得いかない展開
「ねえお兄ちゃん、最近ムカつくことがあったので愚痴を聞いてください」
人の愚痴を聞いたところで何も解決するはずもない、そうだとしても聞いておけば多少は溜飲がおさまるだろう。
「何があったんだよ?」
「はい、期待のゲームが全年齢対応でリメイクされたんですよ! 界隈で話題になっていたので早速買ってプレイしたんですが……EDで実は義妹だったというオチがついたんですよ! こんな事が許されていいんですか!」
思った以上にどうせもいいことだった。それを俺に相談して、どんな答えが返ってくれば満足なんだよ、好きにすればいいが、俺にそんなことを言われても困る。
「まあ……なんだ、ドンマイ」
「お兄ちゃん! こんな許されないことにそんな流すような反応をしないでください! これは重要な問題なんですよ!」
重要……? じゅうよう……? ものすごくどうでもいいと思うんだが、その辺どう考えているのだろうか? ゲームで全年齢にするんだから元々からそう言うマイルドなゲームだったんだろ。しかたないことじゃないか。
「まあいいじゃないか、兄妹に違いは無いんだろ?」
「それでも、心をときめかせて実妹ゲーだと思って買った私の純情はどうなるんですか!」
妹ヒロインのゲームをプレイするヤツが純情だとはとても思えないんだが……、純情ってなんだと思ってるんだろう?
しかしまあ、どれが誰の地雷になるか分からない以上、実妹であると宣言した方が良いのか……世知辛いというか、数多の方面への配慮が必要な時代なんだな。
「気にすんなよ、義妹がヒロインのゲームなんて山ほどあるだろ。その中の一本が、偶然買われたってだけのことだろ」
「納得いきませんよ! 今からでも実妹を出して実妹ルートを実装するべきです! そのためのDLCじゃないですか!」
装置から強く言うものだから、つい俺は身も蓋もない事を訊いてしまった。
「ぽっと出のキャラが実妹で、兄と長年暮らした義妹が振られて、血の繋がりがあるってだけのヒロインと結ばれれば満足なのか?」
俺がそう言うと、阿地は流石に黙ってしまった。確かに妹が突然出来るゲームはあるが、それにしたって義妹から血の繋がりがあるだけのキャラが主人公を奪ってもスッキリはしないだろう。
「しょうがないですね、お兄ちゃん、今晩のご飯は部屋のドア前に置いておいてください。私はあのゲームのヒロインが実は本当に血が繋がっていたって二次創作をするので、スタミナが付くものをお願いしますね」
俺は呆れながらも、その日の夜は肉を焼いて大盛りの白米とエナドリを添えて阿地の部屋の前に置いておいた。
その晩は寝ようと思ったところ、隣の部屋から青軸キーボードを叩くカチャカチャ音がずっと聞こえていた。




