125_妹と、無料の朝食
「ん……コーヒーが美味いな」
平和な朝食を食べられる時間は貴重だ。今日は阿地も眠り込んでいるようで、まだ起き出してこないので一人菓子パンにコーヒーという雑な食事をしている、このくらいでいいんだ。
そりゃあ豪華な朝食だって良いものだと思う、それでもこうしてスマホを弄りながらコーヒーをすすりながら安い食事をするのも悪くない。
ソシャゲを見ていると、いつも通りログボをもらってデイリーを回していった。退屈な作業ではあるが、朝の日課となっているのでこの作業をしていると朝が来たんだと脳が認識して目が覚める。
そうしてガチャ一回分にも鳴らない程度の石をもらってそのままニュースを確認した。物騒なニュースの中で、国内の者は人気タレントの誰それが新しいドラマの……と平和なニュースが入っている。
見ずと平和がタダだと思われているなどと言うが、こういうのを見る度にタダなんじゃ無いかと誤解するのも無理はないなと苦笑した。
そうして食事を終えたところでキッチンのドアが開いた。ようやく起きてきたらしい、休日なんだからもっと寝ていてもいいと言えばその通りではあるがな。
「お兄ちゃん、朝ご飯もう食べちゃったんですか?」
「ああ、これ食っといた。ちゃんともう一個あるぞ」
「ふぁぁい……じゃあそれもらいまひゅ」
どうも起きてきたのに寝ぼけているらしい。紅茶を一杯入れてやるか。
ティーバッグをマグカップに入れて水を入れ、レンジにかける。もっと正しい方法はあるのだろうが面倒くさいときは楽でいい。
「ほら、これ飲んで目を覚ませ、後これで顔を拭け……」
そう言ってフェイスシートを渡す。寝ぼけているにしたってだらしない顔過ぎるだろう。
「お兄ちゃん、拭いてください……」
「ああもう、仕方ないやっちゃな」
手間のかかる妹だ。苦笑しながら顔をゴシゴシと拭くと、いつもの顔に戻ってきた。そうかと思うと頬を染めて言う。
「お兄ちゃん、ごめんなさい……思い切り寝ぼけてました」
「いいよ、俺は何も見てない」
さっきのだらしない顔は見なかったことにしてやろう。誰だって見られたくない者はあるだろう。それを見なかったことにするくらい罰は当たらない。
その時レンジが鳴ったので、紅茶を取り出して菓子パンと紅茶を阿地の前に並べた。
「お兄ちゃん、栄養バランスとか……」
何か不満そうだったが、自分が朝にどんな様子だったか見られた負い目もあるのだろう。おとなしくパンをかじり始めた。たまには考えるのをやめて食べる時間があったっていいさ。
「お兄ちゃん、ありがとうございます。普段なら不満ですが、お兄ちゃんが用意してくれたと思うと満足いくものですね」
「もう少し俺以外への優しさも覚えた方がいいと思うがな……」
そんな軽口を叩きながら緩やかな朝は流れていった。平和はタダではないかもしれないが、俺と阿地の良好な関係に金勘定が絡んで欲しくはないなと、平和な朝を満喫しながらそう思った。




