123_妹と夕食の関係
「お兄ちゃん、今日は手料理をいただけますかね」
「今日は俺の担当日なんだからそりゃ作るが……、リクエストでもあんのか?」
当たり前に手料理を作ろうと言っていたところ、阿地が変なことを言うので何か希望があるのか聞いてみた。
「ああいえ、特に希望があるわけではないんですが、どうも最近お兄ちゃんが分が少なくなってきたので、お兄ちゃんの心がこもったご飯が食べたいなと」
そんなことか。
「じゃあとりあえず、ハンバーグ目玉焼きのせでいいか?」
「いいですよ! 大きいヤツでお願いしますね! お兄ちゃんの手料理はいくらあってもいいですから!」
「はいはい、欲張りなヤツだなぁ……」
そう苦笑しながら肉をこねていく、塩やパン粉のつなぎを入れて適当にこねて、あっという間にハンバーグにしていく。
「しかし、俺の料理なんぞそんなに嬉しいねぇ」
「嬉しいに決まってるじゃないですか! 私のお兄ちゃんの手料理ですよ!」
「言ってもファミレスの方がまだ美味しいだろうって自信はあるんだがな」
「お兄ちゃんのその評価の低さは如何なモノかと思いますが、味や料金の問題ではないんですよ、お兄ちゃんが私のために時間を割いて作ってくれたってところが肝心なんです! お兄ちゃんの心ってのはお金じゃどうにも出来ませんから」
「ふーん……俺にはよく分からない価値観だな。俺は阿地の料理が純粋に美味しいと思うから嬉しいとしか思わんよ」
「ま、お兄ちゃんの価値観はともかく、私の料理が美味しいと言ってくれるのは嬉しいですよ」
我ながら自分の妹のことが分かってねえなと思う、まあ阿地は俺じゃないんだから心が読めたらそれはオカルトなんだろう。
ハンバーグを焼きながら考える、ウチの妹は随分と兄が好きなことだな……良いことなのか悪いことなのか、それはさっぱり分からんが、気分が悪いようなことではないな。
自分でも妹に甘いものだなと思う、それでも妹に対しての態度を改めたくはない。きっとそんなものでいいんじゃないだろうか、そう思っている。
そんなことを考えていると焼き上がったので、上に載せる目玉焼きを二つ焼き始める。香ばしい香りが漂ってきて結構なことだ。ベーコンにでも乗せるともっとうまそうだとおもってから、以前阿地に『カロリーを考えてください』と小言を言われたのを思い出す。その時もしっかりと完食はしてたなあ。
結局、阿地が俺に甘いように俺も阿地に甘いのだろう。なれ合いと言われるだろうが、それも悪くないんじゃないかと思う。わざわざギスギスする必要なんて無いからな。
そうして今日も妹との夕食は始まった。そこまで上手では無いであろう俺が作ったハンバーグを大喜びで頬張る阿地を見ると脳内にセロトニンが満ちあふれるようだった。
そうして今日も緩やかでやさしい夕食の時間は過ぎ去っていった。




