117_妹とおままごと
「お兄ちゃん、今日はお遊戯をしようと思います」
「なんだよ急にですゲームの運営みたいな口ぶりで……?」
またくだらないことを思いついたのだろう、阿地の平常運転なので驚くようなことではない。
「で、何をするんだよ? どーせまともな遊びじゃ無いんだろうが聞いてやる」
すると阿地はやけにもったいぶってから、突然ドヤ顔になって言う。
「おままごとです!」
俺は『は?』という顔をしていたと思う。いくら何でも中学になっておままごとはキツいって……
「ええっと……なんでそんな幼稚園児みたいな遊びをしようと思ったんだ?」
「理由は二つ! お兄ちゃんと擬似的でもいいから夫婦の関係になりたい! 是が非でも! それともう一つ理由があります」
そこで阿地がしてやったりという顔になったので、絶対ロクなもんじゃないなと思ってそのまま聞いた。
「お兄ちゃん、もう晩ご飯は食べましたよね?」
「ん? ああ、そうだな」
「そして二人とももうお風呂に入っている! 時間は夜、ここでおままごとと言えば夜の……」
「ストオオオオオオオオオオオオップ! 絶対危ない内容だからその話はやめよう。というか遊びに夜遊びを含めるんじゃない!」
こんなままごとがあってたまるか! 夜だからってなんでリアルタイム進行してんだよ! ネトゲじゃないんだぞ!
「いいじゃないですかあ、ただのおままごとですよ、決して他の意味なんてないんですから、気にすることないですって!」
コイツの頭の中に理性のブレーキは無いのではないか? 理性の無い人間ほど怖いものはないと思う。人間ならそこに踏み込んではならないと言うところに平気で突っ込んで生きやがる。倫理の授業をやり直せ、道徳でもいいから……
「頼むから危ない内容の発言をするのはやめないか? 常識の範囲で発言してくれよ、頼むからさあ!」
まったく、中学生の頭の中にはリビドーしか詰まってないんじゃないかと思っているようだ。
そんな人としてどうしようもない妹だが、可愛いと言うだけで溺愛するのもどうなんだろうなと俺の理性が考え直せと言ってくる。そのうち兄妹じゃなくなるぞと脳の深いところでアラートが出ている。
「お兄ちゃんはチキンなんですよ、もっとリスクをとらないとリターンはないですよ。虎穴に入らずんば虎児を得ずとは昔の人が言ったでしょう?」
「俺は虎の子なんてほしくないし、むしろその虎穴の中には虎も虎児もいなくて爆弾だけがしかけられてるパターンだと思うぞ」
リターンに対してリスクが大きすぎるんだよ。コイツの価値観どうなってんだ? 頼むから損得勘定をしてくれ。
「分かりましたよ、じゃあ今日はお兄ちゃんが遅くなって疲れているので、同じ部屋で寝るって設定でいきましょう! それ以上は何もしませんからいいですよね?」
それの何処がおままごとなんだよと叫びたくなりつつも、それ以上反論するともっと酷くなりそうだったのでその晩はそれで妥協した。




