114_妹は清楚を目指したい
「お兄ちゃん、どうも私は思うんですよ。もしかしたらお兄ちゃんは清楚な女の子が好みなんじゃ無いかって……」
確かに好きだが、朝っぱらから阿地は何を言っているのか分からない。朝一の声かけが兄の好みだなんておかしいと思わないのだろうか?
「どうしてそう思ったのかは知らないが……嫌いじゃないな」
清楚の意味が暴走しつつある昨今。本物であれネタ枠であれ清楚はいいものだと思っている。もっとも、ウチの妹は清楚とは程遠い存在だが……
「そこで思ったんですよ! 私が清楚になれば解決するのでは!?」
「まず清楚ってそんな考えしないと思うぞ? 大体清楚を名乗っているのに兄へはヤンデレとか清楚以前の問題だろうが」
清楚とは程遠い、極点と赤道上くらい遠いところにいる阿地にそう言った。
「私はどうすれば清楚になれるんでしょうか? 納得いかないですよ! 私だって頑張れば清楚になれるはずなんです!」
いや、まあ……
「成れなくはないような気がするが、清楚なのに兄に下ネタを言うのは間違いなく違うからな? ギャップとかそういう問題じゃなく、ネタキャラって言うんだよ」
身も蓋もない事を言うと阿地は黙り込んでしまった。気まずい沈黙棚亜なんて思いつつ、話題を逸らそうかと思ったところで体に衝撃が来た。
「じゃあ私は清楚じゃなくていいです! お兄ちゃんが手に入るならネタキャラの身分だって受け入れましょう! そうしたらお兄ちゃんは私の方を見てくれますか?」
正直答えに困るなとは思いつつ答えないのもまた不誠実な気がして俺は答える。
「そこまでそういうものはこだわるものじゃない。確かに自由気ままにするのも違う気はするが、兄に好かれようなんて理由で性格を変えようなんてのは無茶なことだと思うぞ」
阿地は目を擦ってからこちらに顔を向ける。その目はまっず郡司分を見ていてなんだか息苦しい。
「分かりました! お兄ちゃんの希望とあっては仕方ないですね! 私がそもそも代わらなければというのがおかしいんですよ! ねえお兄ちゃん! ありがとうございます! つまりはお兄ちゃんが私を好きになるように代わってくれると言うことですね!」
全然分かってない……そういう問題じゃないんだよ。頼むから真面目に答えてほしい。発想がぶっ飛んでんだよ。今の会話の流れからどうやればその結論に至れるのか思考のロジックを観察したいほどだ。
「まあなんだ……努力はしてやる、『行けたら行く』くらいに努力はしてやるよ」
「それってこないヤツじゃないですか! いいですか? お兄ちゃんにはきっちり私の人生の責任をとってもらいますよ! まったく、高も兄が甘い考えをしていると妹が困るんですよねえ……」
まさかの俺の責任と言うことになってしまった。舐めきった考えをして居ると思うのと同時に、このくらい根性がないとこの世の中じゃ生き辛いのかななんてことを考えると無理して考えを変えなくても良いかと思った。
ウチの妹は何もしなくても可愛いから、無理はしなくていいんじゃないかな……そんなことを考えた。




