103_妹は本が苦手
「退屈ですねえ……お兄ちゃん、なんか面白いことをしてください」
「無茶振りだな……」
「じゃあお兄ちゃん、私と楽しいことをしましょう!」
「お前の発言に不穏なものを感じるんだがなぁ……」
勘弁してくれっての。コイツがいると何が起きるか分かったもんじゃないんだよ。安全安心に俺は暮らしたいんだよ。平穏無事な生活を脅かさないでくれ。
「はぁ……じゃあ、ほれ、最近買った本で面白かったヤツだ。読んでろ」
「私は活字を見てると眠くなるんですがね……まあいいでしょう、お兄ちゃんの好みは私も興味があります」
「そんな理由で読むのかよ……というか毎日スマホを延々見てるくせにフォントが紙に印刷されただけで眠くなるのかよ……」
紙に印刷されただけで睡眠作用が出たりなんかしないだろうに……ただの文字にそんな特別な力なんてねえよ。と言ったところで、コイツはそう言えば昔から本を読んでいなかったなと思う。どうしてだったかは知らないが、やたらと俺に読んで読んでと頼んできたのに、自分だけで読んでいることはなかったな。
「ほうほう……なるほど、お兄ちゃんはこんな女が出てくるものがお好みで……スヤァ……」
「秒で寝るなよ!? 嘘だろ、そんな一瞬で眠れるわけないじゃん!」
「ハッ!? お兄ちゃんが読んでくれていないと一瞬で眠くなりますね……」
本当に寝るとは思わなかったよ。そんな簡単に眠れるもんなのか!?
常識を疑っても仕方ないか、コイツはそういうやつだと言うだけのことでしかない。よくまあそこまで眠くなれるものだなあ……
ソレからしばく読んでから阿地は悲鳴を上げた。
「なんですかこの本!? 妹キャラが出てきたのに幼なじみキャラをかばって死んだんですけど!? ハア! なんで妹という王道ヒロインが幼なじみなんて噛ませキャラをかばって死ぬんですか!」
「いや、その本のメインヒロインは幼なじみだし……」
「没収! 没収ですこれは! お兄ちゃんが読んでいい本ではありません! これは没収してお兄ちゃんにはギフト券をあげるので妹ヒロインのラノベを買ってもらいます!」
「なんだ他所の条件は!?」
「お兄ちゃんが妹があっさり死んじゃう本を読んでるからいけないんですよ! 妹は常にメインヒロインであるんですよ!」
「えぇ……何その思想……ドン引きなんだけど」
「はぁ? お兄ちゃんとして妹の言うことが信じられないと? 私の言葉の方が真実なのは明らかですよねえ……? ということでお兄ちゃんにはこれをあげるので一緒に妹ヒロインの本を選びましょうか」
コイツは常に持ち歩いているのかと疑いたくなるほど流れるようにギフトカードを取りだして俺に渡してきた。そしてスマホで読み込むよう言ってからその日は一日妹ヒロインのラノベを延々と紹介されたのだった。




