102_妹は兄と話をしたい
「お兄ちゃん、退屈なので○○○なことをしましょう!」
俺は思わず妹の言葉に呆れる。
「お前、まるまるまるってマジでそのまま読んで読んだ人が勝手に誤解しただけって言う気だろう?」
「おやおや、私はまあるくやっていきましょうと言っているだけですよ? まるが三つ並んだだけで変なことを想像する方がいけないんですよ。わたしはちゃんと『まるまるまる』と言っていますよ? 聞こえてない言葉を勝手に見つけられちゃあ困りますね」
ああ言えばこう言うヤツだな。好き放題しやがって。もう少し世間の常識レベルというものを考えてほしいな。好き放題言い過ぎだろう。
ニヤニヤする阿地を放置しながら俺はスマホに視線を落とした。
「お兄ちゃん、話をしている途中でスマホを見るのは失礼ですよ!」
「それはせめて話がまともに成立するようになってから文句を言ってくれないかな? 別にちゃんと話が通じる相手ならそんなことしねえよ」
「お兄ちゃんは私が話の通じない相手だと言いたいんですか? ソレは酷いと思います! 私は極めて論理的に話しているだけじゃないですか!」
「お前のは論理じゃなくて屁理屈って言うんだよ」
いくら言っても話が通じない相手にどうしろっていうんだよ。言葉の揚げ足を取って自分に都合良く解釈するんだから話なんてまともに通じないんだよ。
理屈を自由に解釈してねじ曲げるんだからそりゃ話なんてする必要が無いだろうとなってしまう。せめてまともな話し合いの席に着く態度を取ってほしいものだ。
「私の言葉は立派な理論です! 動画サイトで論破系の動画を見て学びました!」
「絶対学習先を間違えてるよなあ! 論破系を参考にするんじゃねえよ! 会う人全員を論破してたらまともなコミュニケーションが成立しなくなるぞ!」
ロクな学習先がないなあオイ! 人と仲良くしようという考えは全く無いのかよ……
「分かりました……お兄ちゃんの考えはよく分かりました。そうですか、お兄ちゃんが望んでいたのは全肯定妹だったんですね! 予想とは違いましたが、お兄ちゃんが望むならお兄ちゃんの行動を全肯定する甘々妹にあんるのもやぶさかではありません!」
「あのさぁ……人の癖を勝手に決めるのはやめてくれないかな? 現実を自分の妄想に会わせようとするのはいい事じゃないぞ?」
「じゃあお兄ちゃんは全肯定嫌いなんですか?」
痛いところを突いてくる……
「嫌いじゃないけど……」
「じゃあいいですね! 今日はお兄ちゃんを存分に甘やかしてあげましょう。今日は私が一緒に寝てあげるので安心してくださいね」
そうしてその日は一日妹に世話をされる一日になったのだが、寝るときに阿地が同じベッドに入ってきて『何かしてほしいことはありますか?』と聞いてきたのでダメ元で『じゃあおとなしく寝てくれないかな?』と言ったらマジで即座に寝息を立て始めたのでやましいことはなかったのだと言っておきたい。




