100_妹の自信作
「お兄ちゃん、退屈だからゲームを作ってみたんですが、ちょっとプレイしてくれませんか?」
唐突に妹がそんなことを言い出すものだから、どこでそんなものを覚えたのかと不思議な気分になりつつもどうやってゲーム制作の方法を覚えたのかは気になった。
「何を作ったんだ? というか、どうやって作ったんだ? 学校指定のPCなんて使い道のないようなポンコツだろうが……」
学校指定は論外、この先もずっと最低スペックをこれ以上のものは買うなと言う意味で使われるであろうと確信を持てるくらいのものだった。
幸いにも自分はハイスペックなマシンも持っているのでそこまで不自由はしないが、阿地が持っているのはごく普通の低スペだったはずだ。
「まあまあ、細かいことはいいじゃないですか、ちょっとプレイしてみてくださいよ! ね! 先っぽだけ!」
「なんの先っぽだよ……まあいいや、一応聞いておくがマルウェアとか入ってないよな? 監視機能とか」
「お兄ちゃんは私をなんだと思ってるんです? 品行方正な私がそんなことするはずないでしょう! しっかり兄妹モノのアドベンチャーゲームですよ」
兄妹モノと言う言葉に枕詞としてしっかりは付かない気がするのだが、本人は断言したので大丈夫だろう、阿地がさっきから差し出しているUSBメモリをPCに挿すとa.exeというファイルがあった。本当にシンプルに作ったんだな……ライブラリも何も無いぞ?
どうやったら何にも頼らずゲームが作れるのかは謎だが、とにかくこれを起動させればいいらしい。念のためスキャンをかけてから起動をすると……
「なあ、コマンドプロンプトが開いたんだが……」
そこに文字が表示されていて、「何かキーを押すとスタートします」と表示されていた。
「当然です! 私に絵や音楽が作れるはずないでしょう? 由緒正しいアドベンチャーゲームですよ! 肝心なのはシナリオですから!」
シナリオ重視にしたって最低限というものが……まあ妹個人制作の同人ゲームならこうもなるか。
プレイしていくと、普通に兄妹が出てきたので無難な話になるのかと思いながらキーを叩いていった。そこから選択肢がどこまで進めば出るのか分からないままキーを叩き続けると……
「なあ……一つ聞いていいか? まだヒロインが妹しか出てないのにスタッフ一覧が表示され始めたんだが?」
当然ながら全て妹の名前である。フルスクラッチなのは分かるが、これにスタッフ一覧が必要だったかどうかは酷く疑問だ。
「これで完結ですよ。ほら、選択肢がないとゲームって訳じゃないでしょう? それにテキストのみなので多少際どい描写だって入れられるじゃないですか、ソレで満足してください。そもそも妹以外のヒロインなんて必要無いでしょう?」
まっすぐに輝く目でそう俺に語る妹を否定出来ず、『まあ……創作っていいもんだよな』とどうとでも撮れる返事しか返すことが出来なかった。ただ、それで阿地は満足してくれたのできっと構わないのだろう




