097_妹はネットミームが好きらしい
「暇だな……」
ついそんなことをこぼしてしまう。退屈だった、それはもう阿修羅を生み出して世界を乱してやりたくなる神様の気持ちが分かるほどの退屈さだった。
「お兄ちゃん! 退屈でしたら私とピー(検閲削除)しませんか?」
「わー、退屈って最高だなあ……」
んなことしたらどうなるかなんてわかりきってんだろうが、頭の中ピンクの妹はこれだから……
もう少し気をつけて欲しいと思うよ。退屈だからって危ないことはしたくないんだよなあ……阿地がしようとしているそれは蛮勇と言うんだぞ?
「退屈って言ってたじゃないですか、退屈しのぎには最高のレクリエーションですよ」
「だからもう少し健全な話をしろっての。危なっかしいことを勧めるんじゃない」
これだからチキンレーサーは困る。わざわざ危ない話をするのは辞めてくれよな。俺は平穏な日々を過ごしたいんだからそんなことをするわけにはいかないんだよ。
「ちぇ……じゃあお兄ちゃん、ここに最新ゲーム機があるので遊びましょう」
「よく二台も手に入ったな……と言うか資金はどこから出てきたんだよ……」
「そこはまあアレです、某将軍の埋蔵金を発掘したとでも思っておいてください」
「ホントその辺雑だよなあ! もう少しその辺のいいわけは考えられなかったのかよ?」
「どうせこの辺気にする人なんて居ませんって、ゲームでよくある両親が長期で海外出張に行ってるのを細かく気にする人が居ますか?」
「ギャルゲの定番設定と同じレベルの話なんだな……」
開き直りもここまで来ると清々しいな。お前本当にそれでいいのかとは思うが言いきられると反論のしようもない。
「気にしたら負けですよ、最近は実妹だって案外許されるようになったんですからそのくらいの細かいことを気にしたら負けでしょ。いいですか? これからの時代は『実妹でもOK』なんですよ、大事なことだからよく覚えておいてくださいね?」
「どこの世界線での話か分からないが、ここは日本であることは忘れるなよ、どこぞの異世界の話じゃないんだからな?」
そうそう都合良く法律がねじ曲がってたまるかっての。まあ、別にそういう関係になっても公式に認められないだけではあるのだが……そんなこと言うもんじゃないし黙っておいた方が良いに決まっている。
「お兄ちゃんも強情ですね、いいですけどね、お兄ちゃんが私のものであるのは確定的に明らかなんですからね」
本当にそれでいいのかお前……なんだかなあとは思うが個人の考えをねじ曲げても仕方ないか。兄としては妹の考えをただすべきなのかもしれないが、俺にはそれだけのバイタリティはないしな。
「それでは、私の部屋のドアに鍵はかけていませんので、今日の夜は……それ以上言う必要はないですよね?」
なんか驕り高ぶったようなことを言って阿地は部屋に戻っていった。その晩は随分と安眠出来たのだが、翌日妹からの恨みがましい視線がうざったかった。




