093_妹は議論に負けない
「兄ちゃん、何いい感に私と兄ちゃんの距離接近するアイデアってないです?」
「まずそれを俺に聞く時点でどうと思うし、前はいつもほぼゼロ距離で詰めてくるのにこれ以上近づきようないだろう……」
「私は兄ちゃんと距離を詰めようと思ばもっと詰められると思ってますよ! 兄ちゃんは距離感バグってるんですよ、人間仲良くなろうと思ば一線だって越られるんですよ!」
「なんか、おかしな理屈のような気してならないんだなあ……」
どうやってこれ以上距離を詰める気だよ……つーそんな距離感に余裕なんてあるのか。そのへんどう考てんだろうな。
絶対に距離感バグっているのは阿地の方だと思うのだ、それを言っても水掛け論になるのは目に見ているので言わない。相絶対に自分間違っていると認めないなら議論では無敵なのだと思う。ギャラリーが見てて勝敗の判定明らでも、負けさ認めなければ自分の意志を曲げなくて済むらな。
「お兄ちゃんは距離にマージンを取りすぎなんですよ。ゼロ距離でおしゃべりとか出来ると思わないんですか? 私はお兄ちゃんとの猥談だって厭わないですよ?」
「せめてそこは嫌がってくれよ……なんで兄との猥談を望む妹がいるんだよ……」
自由すぎだろ。どう考えてもアカンと思うのだが、そのラインを堂々と超えてくるのだから困る。負けを認めない議論最強のメンタルをした妹だ。
「お兄ちゃんはもっと大胆に相手のパーソナルスペースに突撃するくらいの根性が必要ですよ。そんな一歩引いたところから話してたら言えることも言えませんよ」
「例えばどんなことが言えないんだ?」
「『愛してるし一線を越えて最後までいきたい』と正直に妹に言うことですかね」
「まず一般常識がないのは無敵すぎて話し合いにならないのはよく分かったよ」
「妹がお兄ちゃんを愛して何が悪いと言うんです? 愛故に全ては許されるんですよ!」
勝手だなあ……強すぎだろう。こんなのどうやっても議論にならないじゃないか。圧倒的強さというかチートというか、折れない心があれば無敵なんだなあと思い知らせてくれる。ただ、普通に折れる心を持つことも大事なんだなとよく分かる。
「俺は妹が柔軟な心を持って欲しいって思うけどなあ……」
「何をおっしゃいますか! 私は兄妹での結婚が出来ないと言う古い価値観に囚われないフリーダムで柔軟な考えをしているじゃないですか!」
「なんで悪い方に向けてばかり考えが柔軟なんだよ……」
「じゃあお兄ちゃん、ちょっと議論をしましょう。お兄ちゃんが一方的に喋っていいので私の心を変えられたら晩ご飯を奢りますよ。その代わり負けたら今晩は私の部屋で寝てくださいね」
「分かったよ……負けても床で寝るからな……」
そうして翌朝目が覚めたときに体が痛くなった結果になったのは言うまでもないだろう。




