第八十九話 はぐれたあの日
※本日はもう一話、20時に投稿予定です。
あの日もこの神社に家族で初詣に来ていた……
昼過ぎに着いたが人で溢れていた。
「人多いね。」
「そうだな。」
「私は、悠心見ないとだから。」
「じゃあ二人は、俺が連れて行くよ。」
「分かった。彩葉と悠太は、はぐれないようにお父さんにちゃんと着いて行ってね。」
「うん!」
「分かった!」
「トイレ行くから二人は、ここから離れるなよ。」
父さんにそう言われて、彩葉と待っていた。
「うん。彩葉、ほら手。」
「ゆうにい、人多いね。」
「どっか行くなよ。」
「行かないよ。」
そこからしばらく時間が経ったとき。
「ちょっと見てくる。待っとけよ。」
「うん。」
トイレに入り、父さんを見に来た。
「まだ?」
「悪い。腹痛でもう少し待っててくれ。」
「分かった。」
外に戻ると彩葉の姿が無かった。周りを見渡してもいない。
「彩葉〜」
呼んでも反応はなかった。
「彩葉〜」
やばい……そう思った僕は何も考えず、探しに行った。
しばらくしても見つからず、あることに気づいた。
「僕は、今どこにいるんだ。」
自分の場所すら分からなくなっていた。
「帰れない……」
彩葉を探してる場合ではない。まずは、誰かに会わないと……その後も探していたが、誰も見つからず日が落ち始めた。
「やばい……彩葉、大丈夫か。」
何か良い方法が無いか考えた。
「そうだ!車に戻れば良いんだ。」
そうして、駐車場に戻ると母さんと悠心の姿があった。僕は、それを見て安心して力が抜けた。
「悠太……」
母さんは、僕を抱きしめた。
「ごめんなさい……」
「良かった……」
「彩葉は?」
「戻ってくるって。」
しばらくして、彩葉が父さんと戻ってきた。
「彩葉!」
「ゆうにい、ごめん。」
「良いんだ。無事だったら。」
「悠太!何も言わずに行ったらこうなるだろ!」
父さんにキツく言われた。
「ごめんなさい。」
「人も多いから誰かに連れて行かれたらどうする。早く探しに行くのも大事だが、報告も大事だぞ。」
「はい。」
この後、母さんからもしっかり怒られた。
「そういえば、そんな事もあったな……」
「やっと思い出したの?」
「あ〜そうだよ。」
正直、家族との思い出は、あまり覚えてない。いや、覚えてないのではなくて思い出したくなかったのかもしれない。けど、それは、前までの話だ。今は、そんな事を笑える余裕があるくらいには、強くなったのだろう……
「で、何であの日、彩葉は、急にどっか行ったんだ?」
「あ〜実は、澄麗ちゃんが見えたから……」
「澄麗ちゃん?」
「ほら、仲良かったでしょ。ゆうにいの、同級生の友達。転校する前は、よく遊んでたじゃん。」
「澄麗って、あの澄麗か?」
「私に聞かれても分からないよ。」
「彩葉のほうがよく遊んでただろ。」
「確かにそうかもだけど。」
「でも、懐かしいな。今、何してるんだろうな。」
「高校生でしょ。」
「それは、分かってるよ!」
「ゆうにい、アホなのかと思った。」
「そんな事でどっか行くやつのほうがアホだな。」
「それは、昔の話でしょ!?」
「また、どっか行くなよ〜」
「もぉ〜ゆうにい、許さん!」




