第八十三話 二人は一番
三人で遊んでいたら、気づけばすっかり日をまたいでいた。
「もうこんな時間か〜」
ひまりがそう言って、そろそろ寝るのかと思ったがそんなわけなかった。
「こっから楽しくなるよ〜!!ね、二人とも。」
「そうだね。お泊りっぽくなってきたね。」
りおもノリノリだ。
「で、何するんだ。」
「そりゃあ、もちろん。」
「ひまり、悪い顔が出てるぞ。」
「うっ、バレてた。」
「で、教えてくれよ。」
「そりゃもちろん恋バナでしょ。」
「恋バナ好きすぎるでしょ。」
「ゆうくん、たまには、良いんじゃない?」
「りおも!?どうした!?」
「そんな警戒しなくていいから……」
僕は、二人に警戒してるのではなく、自分を警戒している。何が起きてどうなるか分からない、この状況に気を抜けなかった。
「で、ゆうくんって好きな子いるの?」
ひまりに聞かれて、むせてしまった。
「っ……ばかっ、いきなりすぎるだろ!?」
「いや〜聞き方なかったから……」
「ゆうくん、どうなのよ。」
りおも便乗して聞いてくる。僕は、困ったがとりあえず濁しておこうと思った。
「う〜ん。どうだろうな。」
「何。その答え〜」
「ゆうくんなら言うと思ったわ。」
「悪かったな、そんなので。って、何で謝ってんだよ。もっとマイルドな質問をしてくれ。」
二人は、考え出した。
「付き合ったことは、あるの?」
意外にも、りおが聞いてきた。
「ないよ。一回も。」
「そうなんだ。」
「分かってただろ。」
「分からないよ。聞いてみないと。」
「聞いてくるりおは、どうなんだよ。」
「私は、ほら、ね。」
「りっちゃん、付き合ってなかったっけ?」
ひまりが空気を読まずに言った。
「ひまりっ!」
「あっ、ごめん。」
「まったく、もう……付き合ってはないけど、両思いだったんじゃない?中学生の頃だから良いでしょ。」
りおにも、そういう事があったのか、何か安心した。
「ゆうくん、その顔何よ。」
「何でもないよ。」
りおは、明らかに動揺していた。
「……ひまりは、どうなのよ。」
「私は、ないね。」
「無いのか!?意外。」
「そう?」
「でもひまり、結構、告白されてるよね。」
「りっちゃん!?それは!」
「さっきのお返し。」
りおの満足そうな顔。対照的なひまりの慌てた顔。
「そうなのか、ひまり?」
「ほんとのことだね。だけど、オッケーしたことは、一回も無いよ。」
「理由は、聞いていいのか?」
「うん。可愛いって言ってもらえるのは嬉しいよ。でも、それだけで付き合うのは違うかなって。本当に私のことを見てくれてる人がいいの。」
「ひまりも、乙女ね。」
「りっちゃんは、黙ってて!」
ひまりの事だから、特に考えていないと思っていたら、意外と芯があってちゃんとしているんだなと思った。
「高校に入ってからも何度かされたけど断った。」
「そうなのか!?」
「ゆうくん、知らなかったんだ。」
「そういう情報は、僕には回ってこないから……」
「言ってて悲しくないの?」
りおが煽ってくる。
「悲しいよ。……だけど、今は、こうやって二人がいるから何でも良いんだ。」
二人は、モジモジしだした。
「急に何言うと思ったら……」
「ゆうくんったら……」
「僕にとって、二人は、一番だね。」
二人は、さらに落ち着かなくなり、顔も赤くした。
「はいはい。終わり!恋バナ。」
ひまりが力強く言った。
「まだ、始まったばかりじゃ。」
「解散よ!部屋に戻って!」
りおの部屋を追い出されてしまった。
僕は、部屋に戻って、自分が何をしたか振り返っても悪い事をしたという、見当はつかなかった。落ち着かなくなり、ずっと考えて、しばらくは寝れなかった。




