第八十二話 三人の夜
一段落して、気になっていたことをりおに聞いた。
「僕は、どこで寝たら良いんだ……」
「確かに。お母さん、ゆうくんの寝る場所どうする?」
「え〜私と一緒で、良いんじゃない〜?」
「ダメだ。酔ってたんだった。」
「リビングで寝たら良いか?」
「それは、申し訳ないよ。確か、お父さんの部屋が空いてるはずだから……」
りおと二人で見に行った。
「結構、綺麗にしてあるな。」
「そりゃ、汚いのは嫌でしょ。」
「そうだな。」
「ここで寝てくれたらいいから。」
「分かった。」
「で、もう寝るの?」
「う〜ん。」
悩んでいると、りおが言った。
「何を悩んでるの。寝かせるわけないでしょ。」
「え!?」
「お泊りだから夜更かしでしょ。」
りおがこんな事を言うなんて珍しい。だけど、それくらい楽しみだったってことか。乗り気じゃないようでノリノリじゃないか。
「そうだな。りお。」
「じゃあ、後で私の部屋に来てね。」
僕が返事する前に、りおは、何処へ行った。それってもしかして……余計なことを考えそうになって、慌てて頭を振った。
りおの部屋の前に来た。
「開けていいんだよな……」
謎の緊張感に体が固まる。
「ノックはしたほうがいいか……」
考えれば考えるほど体がカチカチになる。
「ふぅ。」
一度、息を吐いて、ドアをノックした。
「入って良いよ。」
ドアを開けると、りおとひまりがいた。
「おおう、どうも。」
ひまりが居て、少し驚いて謎の反応になった。
「何よ、私を見て。」
ひまりが言った。
「目が合っただけだ。」
「ふーん、まあ良いけど。」
「ゆうくん、遅かったね。」
りおに言われた。
「そうか?」
「待ってたのよ。」
「それは、悪かったな。」
「良いけど。」
「二人とも良いけどって何だよ……」
二人は、顔を合わせて笑っていた。よく見ると二人ともパジャマ姿で正直、可愛い。お風呂に入ったのだろう、りおのサラサラな長い髪は美しい。ひまりの前髪が無い姿も赤ちゃんみたいだ。
「何、立ったまま私たちを見てるの?」
「ひまりのそんな髪型見たことなかったから……」
つい言ってしまった。
「何見てるのよ!?ほんとに、もう。」
ほっぺを膨らませながら怒る。その姿も可愛い。僕は、表情が緩みすぎて大変なことになりそうだった。
「二人とも、私の部屋でいちゃつかないでくれる?」
りおがキリッと言った。
「あっ。ごめんね〜」
ひまりは、明るく言った。
「ゆうくんは、何、私をニコニコ見てるのよ。」
また、気づかずうちに……
「いや、いつにも増して髪が綺麗だったから。」
「っ……何よ、急に。」
りおは、目線を逸らせて言った。今日の二人は、僕には、致死量だ。
勉強会でこの部屋には、一度来たことがあるが慣れない。シャンプーの匂いだろうか、この匂いが、ここは、僕の居場所じゃないことを強く感じさせる。
「何して遊ぶ?あ、やっぱ恋バナ?」
ひまりが言った。
「恋バナは、やらなくて良いでしょ。」
りおは、否定する。
「まずは、遊ぼうか。」
「まずって、後でやるつもりじゃん。」
「良いでしょ。ね、ゆうくん。」
僕を見つめてくる。
「とりあえず、遊ぼうか。」
短くて長い夜が始まるのであった。




