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第八十話 家族とは(後編)

※本日2話目(後編)です。

「家族とですか……」

 僕は、返事に困った。

「ごめん、変な事聞いちゃったね。」

 僕の反応を見たからだろうか、美桜さんは、話を切り上げようとした。だけど、僕は話すべきだと、思い口を開いた。

「上手くはいってないかもしれません……」

「そうか……でも、ゆうちゃんなら大丈夫!」

「どうしてですか?」

「祐子さん、ゆうちゃんと居て楽しいって言ってたから……」

「ばぁちゃんがそんな事を……というか、そんな話を……」

「うん。昔の事も色々聞いたりしてね……詳しくは、分からないけど、今は、祐子さんがゆうちゃんが居てくれて楽しいと思ってくれてるなら良いんじゃない?」

 昔の事を話されたのは少し恥ずかしいけど……ばぁちゃんがそんな事を思ってくれてたなんて、嬉しいな。

 

「美桜さん、ありがとございます。ただ、昔の事は、二人には喋らないでくれますか?」

「うん、そのつもりだったんだけど……」

 その時、嫌な予感がした。

「もしかして!?……言ったんですか?」

「いや、まだ言ってないんだけど……」

「まだ!?とは……」

「りおがね……凄く聞いてくるの。」

 やっぱりか……何となくりおは、察していたのだろう。今までも何度か気遣われてるような所があった。

「そうですよね。隠してる僕も悪いですから……」

「そんな事ないよ!誰だって言いたくない事は、あるでしょ。」

「でも、これは、僕がいつまでも切りをつけれてないだけで……家族の中では終わったことですから……」

「終わったことじゃないよ。きっと、今でも大好きなんじゃない?家族だから……」

 僕は、その言葉を聞いて胸の奥が熱くなった。小学生の頃で鮮明に覚えていることは、少ないけど、蘇ることは、楽しいものばかりだ……だからだろうか、いつまでも心の何処かでモヤモヤしている。今、僕は最高に楽しいのに最高に楽しめていない理由は、どこにあるのだろうか……


 僕がそんな事を考えている間に家についた。

「ゆうちゃん、着いたよ。待ってるから。」

「はい。」

「あ、ついでに、お風呂も済ませてきな。」

「ありがとうございます。」


 素早く、準備を終わらせて、車に戻ろうとしたときふと思った。ばぁちゃんが居なかった。慌てて荷物を持って車に向かうとばぁちゃんと美桜さんが仲良く話していた。

「ゆうちゃんおかえり〜。」

「ばぁちゃん、ここに居たのかよ……心配したぞ。」

「言ってなかったか、悪いね。じゃあ、いってらっしゃい。」

「うん。行ってきます。」

 そう言って車に乗り込んだ。


 さっきの空気とは、変わって美桜さんは、明るく元気ハツラツとしていた。

「楽しみ?ゆうちゃん。」

「はい。」

「私と一緒に寝る?」

「それは、遠慮しときます。」

「即答!?寂しいな。」

「僕も良い年ですから。」

「もしかして、そう言う事?」

 ニヤニヤしながら煽るように聞いてきた。 

「そう言う事ってどういうことですか!?」

 僕は、何となく察したので強く否定しておいた。

「まあ、楽しんでね。で、また何かあったら頼ってね。二人に伝える時も手伝うから。」

「ありがとうございます。」

「頼りやすいようにタメ口で良いよ。」

「いや、そんなの……」

「良いの良いの。だって、もう私たち家族でしょ。」

 

 家族というものの定義は、よく分からないけど一緒に長く居たら、それは家族になるのだろうか。多分、僕は家族というものにトラウマがあって、重く考え過ぎなのかもしれない。たまには、気楽に考えることも大事なのだろうか……


 僕が少し黙っていると、美桜さんは、さっきの話を思い出すかのように慌てた。

「ゆうちゃん、また余計なこと言っちゃった。ご……」

 そう言って謝ろうとした所で僕が言った。

「いえ、嬉しいです。家族が居て。」

「ゆうちゃん……」

 美桜さんは、とてもうれしそうな顔をした。

「みんなと居れば、今までの苦しかったことも塗り替えられて楽しい思い出でいっぱいです!ほんとうに、ありがとうございます。」

「ゆうちゃん、大好き!」

「美桜さん、前見てください!?」


 りおの家に着いた。

「美桜さん、ありがとうございます。」

「タメ口でしょ。」

「慣れるまで大変です。」

「ほら、また。」

「すいません。」

「ちょっと。」

 僕も美桜さんも気づけば笑っていた。家族ってこういうものなのかな……心が満たされた気がした。

「あ、さっきの写真見る?」

「はい。」

 そう言って、三人でツリーを飾ってる写真を見た。

「三人とも良い笑顔でしょ。こっちの写真のりおは、変な顔だけど。」

 この人たちは、僕の一つの家族だと写真を見て、強く思った。

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