第五十九話 驚きの後夜祭
舞台の上に立っている五人組の中に、見慣れた顔が一人いた。
「ひまり……あれって……」
「ゆうくんもそう見えるよね……」
僕たちが座っていたところは、舞台から遠かったが立ち振る舞いと雰囲気でその一人がりおであることに気づいた。
「ひまり、知ってたのか?」
「いや、何も……」
そんな事を言ってるとダンスが始まった。クールな音楽が流れ始めると会場は、手拍子で盛り上がった。りおの踊りは、キレキレで格好良かった。衣装も似合っていて、その姿には美しさもあった。
「りっちゃんー。」
ひまりが急に大きな声で言った。
「りおー。」
僕も自然と声が出ていた。僕もひまりも視線がりおに釘付けになっていた。
りおのダンスが終わると少し寂しい気持ちになった。
「もう少し、見たかったね。」
ひまりにそう言われて僕も強く同意した。
「間違いないね。っていうか、りお、ダンス踊れたんだ。しかも、あんなに上手く。」
「りっちゃんのバリバリのダンス、聞いたことも見たこともなかったわ。」
「練習してたんだな……」
僕は、後でりおのこともたくさん褒めてあげようと思った。
その後も数組、バンドやダンスがあり、いよいよ最後となった。
「それでは、最後どうぞ!」
先生たちが出てきた。これだけで会場は、大盛り上がりだ。いろんな先生が歌って踊って大はしゃぎ、観客の生徒も大はしゃぎで文化祭のラストを飾った。
後夜祭が終わり、しばらくしてりおが来た。
「りっちゃん!すごいよ!」
「りお、お疲れ様。」
「ありがとう二人とも。わざわざ待っててくれて。」
「会いたかったの!ダンス、キレッキレだったね。」
「本当にカッコよかったし美しかったよ。」
「良かった。ちゃんと踊れてて。」
「衣装も似合ってたよ!」
「何かいつもとは、違うりおを見れたよ。」
「二人とも褒めすぎだって。」
「ほんとなんだもん!」
「まったく、ひまりったら。」
りおが文化祭期間、頑張っていたことに気づけなくて褒めることしか出来ない自分が少し虚しかった。
「ダンスあるって言ってくれたらシフト考えれたのに……りお、気づけなくてごめんな。」
「ううん。私が秘密にしてたの。驚くかなって。」
「本当に驚いたよ!最初見た時、目を疑ったから。」
「僕もびっくりしたよ。」
りおは、笑みを浮かべて言った。
「ゆうくんもひまりも頑張ってたから、私も頑張れた。」
「みんな頑張ったね!みんなにお疲れ様!」
ひまりのその言葉を聞いて、そのとおりだと思った。三人がそれぞれ、文化祭の大切なピースとして活躍していたのだと感じた。
その後、解散して家に帰ることになった。打ち上げは、疲れていたので後日ということになった。
「はー……やっと、帰れる。」
帰り道、この文化祭期間を振り返っているといろんなことがあったなと改めて思った。そして、りおとひまりの知らないこともまだまだたくさんあるとも思った。
家に着き、ドアを開けると玄関にいつもならない靴が置いてあった。――このとき僕は、すっかり忘れていたことを思い出した。




