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第五十七話 やるしかない

※本日2話目です。

 りおに一日目のことを詳しく聞くことにした。

「結構、人が入ってね。回転率も上げたんだけど、追いつかなくて。整理券制にしてもいっぱいで休む暇なんて一秒も無かったよ。」

「相当だな……」

「だけど、お客様は、みんな楽しんでくれてたから。」

「明日は、一人一人のシフト時間を短くするか。」

「それが良いかもね。」

「ひまり。明日、頑張れるか?」

「もちろん!一日中、張り切っちゃうぞ!」

「じゃあ、僕も一日中、頑張ろう!」

 りおは、驚いた顔で言った。 

「本当に!?倒れちゃうよ。」

「りっちゃん。大丈夫、ゆうくんと私なら。」

「頑張ってね!」

 りおは、素っ気ない感じで僕の肩を軽く叩いて何処かへ言ってしまった。

「準備しますか!」

 その後、二日目に向けて準備をした。


 文化祭二日目、教室には緊張感が走っていた。そんなムードを和ませるようにひまりが言った。

「みんな、やるしかないよ!頑張ろう!」

 始まる時間になった。早速、多くのお客さんが来た。高校生も子供連れの家族も保護者の人も。午前中には、整理券を配るほどになっていた。

「整理券制です。現在、三十分待ちですー。」

 受付の僕も忙しかったが中ではひまりたちがクオリティを落とさず、回転率を上げて多くの人に楽しんでもらっていた。

「これなら、本当に賞を狙えるぞ。」

 僕は、本気でそう思った。


 午前と午後の間の少しの休憩時間、僕とひまりは、ぐったりしていた。そんなところに多田が来た。

「お前のクラス繁盛してるみたいだな。」

「多田。どうしてここに来たんだ。」

「どうしてって、一日中シフトに入る、馬鹿のために昼飯買ってきてやったんだよ。」

「誰に聞いたんだ?」

「お前とよく一緒にいる確か……桃山だっけ。お前と回ろうと探してたけど居なくて聞いたんだよ。」

「そんな事、僕に連絡してくれよ。」

「そっか、その方法があったか。」

「まったく、馬鹿はどっちなんだ。」

「で、これ昼飯だ。あんたの分も買ってきたよ。」

「私のも!?」

「多田、ありがとうな。」

「多田くん、ありがとね。」

「じゃあ、午後も頑張れよ。」

「多田くん、良い人だね。」

「そうだな、本当にいい奴だよ。早く食べて午後も頑張ろうか。」

「やるしかないね!」

「その言葉、気に入ったのか?」

 多田からもらったご飯は、いつもより温かく美味しかった。午後も頑張りきれるパワーが溢れてきた気がした。


 午後になってもお客さんが途切れることは無かった。終盤になってきて、りおも受付のシフトに入った。

「今日も忙しそうだね。」

「そうだね。昨日より、人数多いぞ。」

「その割には、回ってるわね。」

「中でひまりがめちゃくちゃ頑張ってくれてる。」

「私も頑張らないとね。」

 その後もスムーズに受付をした。


 何事も起きず終わると思っていたその時、聞き慣れた声が近づいて来る気がした。りおでもなく、ひまりでもない誰かが……僕は、まずい予感がしたがそれは、予感では無かった。

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