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第五十五話 強さと弱さ

※本日2話目です。

 ひまりから連絡をもらった場所に走って行った。

「いない……ここにいるはずなんだけどな。」

 僕は、周りを探しに走った。りおにも協力してもらったが中々見つからなかった。

「どこにいるんだ。時間ないぞ……」

 公園に入ると、ベンチに座っている制服を着た子がいた。頭に服をかぶっていて顔は見えなかった。

「ひまり……?」

 ひまりは、頷いて何も言わなかった。僕も何も言わず隣に座った。すると、ひまりは、僕の肩に頭を乗せて腕を掴んだ。

「落ち着いたか?」

 僕がそう聞くと、ひまりは涙をこぼし始めた。

「そうか……」

 僕に出来ることは、これしか無いと思い、かぶせていた服を深くして、ひまりに少し身を寄せた。そのまま、ゆっくりと時間が流れた。


「ありがとう。」

 ひまりが口を開いた。

「うん。」

 僕は、急なことであまり言葉が出なかった。

「私……あの時、本当に絶望して、考えられなかったの。あそこには、居られなかった……」

「僕も同じだったよ。」

「でもゆうくんは、率先して直そうとしてたでしょ。」

「あれは、そうするしか無いと思ったからだよ。ひまりがあんなに頑張ってきたのに失敗で終わらせるわけにはいかないから。」

「私、全然役に立ててないよ。ゆうくんばっかり頑張って……小さい時から、空気読めなくて、それが良い方向に行くこともあれば悪い方向に行くことも多かった。変わらないといけないのに変われない……こんな私のために、ありがとね。」

「ひまり、色々言いたい事がある。」

「なに?」

「少し熱くなるかもしれないけど……」

 僕は、立ち上がり、ひまりに向けて言った。


「ひまりの言ったこと全部間違ってる。役に立ってない?そんなわけないだろ。ひまりは、頑張っていろいろ考えて、実行してくれた。ぶつかることもあったけど今では最後まで、その子たちも、僕たちのことを手伝ってくれてるぞ。それは、ひまりが仲良く繋げてくれたからだ。」


 ひまりは、泣きそうな目で僕をしっかり見ている。


「頑張って変わる必要なんかない。悪い方向に行ったって、いいじゃないか。それを良い方向にみんなで変えようよ。今のひまりを、僕やりおは大切に思ってる。クラスのみんなだってそうだ。」


「ゆうくんに励まされるなんて……馬鹿みたい。」

 ひまりは、泣きながら僕に抱きついてきた。遠足のあの日、ひまりが僕に強いと言った、理由が分かったかもしれない。

「もういいか?」

「ダメ!もう少しこのままで。」

 ひまりが泣き止むまでこの体勢だった。


 学校に戻ると、りおがひまりに抱きついてきた。

「ひまり、良かった!」

「りっちゃん、ごめんね心配かけて。」

「本当に……迷惑料として、最後しっかり働いてね。」

 クラスのみんなもひまりを心配していた。

「ひまりちゃん、良かった!」

「一緒に頑張ろ!」

 ひまりは、いつも通りの元気な声で言った。

「おまたせ!材料買ってきたよ!」

 僕は言った。

「これで直して、完成だ。」 

 早速作業に取り掛かり、みんなで協力して完成した。

「出来たね。ゆうくん。」

「そうだな。ひまり。」

「明日、楽しみだね。」

「明日からが本番だぞ。泣き出してどっか行くなよ。」

「行かないよ!その話は、秘密でしょ。」

 ひまりに軽く叩かれた。

「でも、ありがとうね。」

「感謝は、文化祭終わってからで。」

「そうだね。賞、目指して頑張ろう!」


 ひまりと一緒にいても気づかなかった事に、今日、気づかされた。強さの裏には、弱さがあるんだと。そして、弱さの裏には強さがあると、それは、きっと僕自身も同じなんだと思う。――入学した春とは、変わった自分をこの文化祭で最大限、表したいと思った。

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