第五十四話 成功に向かって
※本日はもう一話、20時に投稿予定です。
ひまりが体調不良から帰ってきたのは、文化祭前日の準備日だった。
「ゆうくん、ごめんね。来れなくて。」
「大丈夫!完璧に準備出来たから、あとは設置するだけ。」
「ありがとう!じゃあ、始めようか!」
今日は、一日準備することができる。クラスのみんなでさっそく設置を始めた。スムーズに進み、昼には設置が終わり、午後は、配置や流れの確認をした。
「二条くん!大変!」
明日を待つだけだと思って、休憩していた僕のところに、クラスの子が慌てた様子で僕を呼びに来た。
「どうした!?」
「すぐ来て!」
そう言って、走って教室に向かった。
教室のドアを開くと、設置したはずの黒い段ボールや黒いテープがボロボロになっていて、暗闇のはずなのに光が差していた。
「まじか……」
僕は、絶望した。電気をつけると、事態の深刻さをより理解した。そこには、下を向いたひまりもいた。
「ひまり!」
「……ゆうくん……なんで……」
泣きそうな目で僕のもとに来た。クラスでは言い合いも起きていた。
「あんたが引っ張ったからでしょ。」
「俺は、引っ掛かっただけだ。」
「どうするの!?」
「脆いからこんな事になるんだろ。」
僕は、何も考えられなかった。
「やめて!」
りおが大きな声で言った。
「今ここで、喧嘩してどうするの?もう一回、作るしかないでしょ。ここまでやって諦めるの?」
その言葉に僕は、気づかされた。今の状況を確認した。
「これは、まだ使えるかも。こっちも、何とかなるな。」
僕は、諦めるには早いと思った。
「みんな聞いてくれ。手分けして、やろう!今、出来ることを全力でやってみよう!」
役割を分けて、修理する係、新しく作る係、買い出しに行く係。みんなで手分けした。放課後になっても、みんな手伝ってくれていた。部活終わりに駆けつけてくれる生徒までいた。
「みんな、ありがとう!」
「同じクラスなんだし、当たり前でしょ。」
最初は、反対していた子たちも手伝ってくれてる。そんな姿を見て、諦めない気持ちがより強くなった。
「絶対に終わらせるぞ!」
その後も黙々と作業を続けて、気づけば日が落ちて、外は暗くなっていた。
「あと少しだけどもう材料が足りないな……」
そういえば、ひまりを見ていない。
「ひまりはどこ行ったんだ?」
りおに聞くと、
「ひまりは、黒い布とテープ買いに行ったよ。」
「まだ帰ってきてないのか?」
「そうみたい。」
ひまりと一緒に成功させようとしてたのに、このままでは居られない。――気づけば僕は、学校を出ていた。




