第五十話 笑いの中で
着替えようと思い、袋を開けると……
「まじか……」
袋の中には、ポリスの衣装が入っていた。よく見ると女子が着る物っぽい。
「ミニスカは……流石にやばいよな。」
僕は、やめようと思ったとき、ひまりの声が聞こえた。
「まだー?早くして恥ずかしいからこれ。」
「着るしかないか……」
僕は、恐る恐る、みんなの所へ行った。
「おまたせ……」
「ちょっ!?なにそれ!?」
「……え、本気?」
りおとひまりは、だいぶ引いていた。
「いろいろあってこれになったんだよ。」
僕は、この場からいち早く逃げたかった。そう思っていると、美桜さんが大笑いしながら言った。
「なにそれ?ほんと、おかしい。面白すぎる。りおもひまりちゃんもよく見てよ、なんでミニスカなの。美脚見せたいの?やばい、笑い死にそう。」
「美桜さん……恐竜の中で見えないからって笑い過ぎですよ。」
ひまりも笑い出した。
「私が恥ずかしがってたのが馬鹿みたいじゃん。ゆうくん、そんなキャラだったの?」
「違うって!」
「まあ、取りあえず写真撮りましょうか。」
りおがそう言って、みんなで写真を撮った。
「ゆうくん、なんでその服なの?」
りおに聞かれた。
「仮装用意してなくて、バイト先で先輩に言ったら、これ貰ったんだ。さっきまで中身確認してなくて……」
「まったく、ゆうくんも抜けてる所あるよね。」
「ゆうくん、似合ってるよー。」
ひまりがおちょくるように言ってきた。
「ひまりー。待てー。」
恥ずかしい服装をしているのも忘れて、しばらく遊んだ。
仮装パーティーが終わると、ひまりは先に家に帰った。
「また明日ー。」
今日は、祖母はご飯を作ってくれる日ではないのでりおの家で晩御飯をいただくことになった。
「いただきます。」
「召し上がれ。」
「美味しい。」
僕がそう言うと、りおも美桜さんも嬉しそうだった。
「だし巻き、作ってくれたの?」
「うん。ゆうくん、好きでしょ。」
「美味しい。やっぱり最高だよ。」
そんな会話を二人でしていると美桜さんが言った。
「りおったら胃を掴んで、男の子を落としてるの?」
「お母さん、そんなのじゃないから。」
あながち、間違いではない。りおと美桜さんが作る、料理はどっちも美味しいし、好きだ。
「美桜さんの作る、料理も美味しいですよ。」
「あら、ありがとうね。いっぱい食べてね。」
その後も、美味しくいただいた。美桜さんがいろいろ推してくるからいつもより食べた。
「ご馳走様でした。美味しかったです。」
「美味しそうに食べてくれるから嬉しいわ。」
「美味しいのは、事実ですから。」
食器を持って洗いに行こうとすると、
「良いのよ。りおがやってくれるから。」
「いえ、美味しいご飯をご馳走になったので手伝います。」
そう言って、りおと片付けを始めた。
「私がやるからいいわよ。」
「そんな事言わずに、二人のほうが早いだろ。」
僕たちの姿を美桜さんがずっと見ているのをりおが気にしていた。
「お母さん、何ずっと見てるの?」
「いやー青春だなって。」
「何よそれ。変なこと言わないでね。」
「洗濯してくるからあとは、若いお二人さんで……」
「まったく……」
りおは、呆れてる様子だった。
「りお、楽しそうだな。」
「そう?」
「うん。愛されてるんだなって。」
「まあ、そうかもね。一人っ子だし、お父さんは、忙しいことが多くて家にいないから。」
「そうなんだ。」
それでも愛してくれる人がいる。僕とりおの家庭は、似ているようで似ていないというか、家族って、同じようで同じじゃない。それぞれに、それぞれの形があるんだと思った。




