第四十七話 三人で打ち上げ
※本日2話目です。
「本当に来てしまった……」
打ち上げが終わり、帰っていると二次会に誘われた。今、僕はりおの家に向かっている。
「親は、大丈夫なのか?夜も遅いし。」
僕がそう聞くと、りおは、すぐに答えた。
「大丈夫。許可出てるし、お母さんは、二人に会えるの楽しみにしてるよ。」
「そうなんだ……」
このとき僕は、りおのお母さんがどんな感じか一人でイメトレしていた。ボッーとしながら歩いてると、りおが足を止めて言った。
「着いたよ。ここが私の家。」
「久しぶりに来たね。」
ひまりがそう言って、二人でさっそく入ろうとしていた。
「もう行くのか!?」
「ゆうくん、ビビってるの?」
ひまりに煽られて少しムカついた。
「ビビってなんかない。」
「大丈夫。フレンドリーだから。」
僕は、心拍数を整えて準備をした。
りおが玄関を開けると、お母さんが待っていた。
「おかえり……」
低い声だった。少し怒っているようにも聞こえる。足が震えて、逃げたくなった。りおのほうを見ると特に変化はない。
(これがいつも通りなのか……)
間が長くなるにつれて恐怖心も高まってきた。
「……りお!おかえりー!体育祭楽しかった?優勝できた?お……ひまりちゃんと……あなたがゆうくん?いつもりおがお世話になってるわね。」
「お母さん、やめて!」
りおが必死に止めている。僕は、安心した。
「りおのお母さん、楽しそうな人だね。」
「そう?うるさくて……迷惑なんだけど……」
「ゆうくん、はじめまして。私は、りおの母、美桜です。よろしくね。」
「よろしくお願いします。美桜さんで良いですか?」
「あら、いきなり名前呼び?」
「あ……すいません。」
「良いのよ。上がっていきな。」
りおとひまりは、先に入っていった。僕は、気になっていたことを踏み込んで聞いてみた。
「美桜さん、なんで最初、少し怒ってたんですか?」
「ビビらせようと思って……ごめんね。」
「良かったです。結構、怖かったので……」
りおが普段落ち着いて、ちゃんとしている理由が少しわかったかもしれない。
四人で今日の体育祭のことや普段のこと、僕たちの出会いなどいろんなことを楽しく話した。
「出会って半年だけどいろんなことがあったな……」
僕がそう呟くと、美桜さんが羨ましそうに言った。
「なんか聞いてる私も青春したくなってきた。」
「お母さんの思い出話とかいらないからね。」
りおは、美桜さんに警告をして、その場から強制的にどかした。
「りお、楽しそうだな。」
「大変だよ。毎日、毎日。」
「嘘〜。りっちゃん、お母さんのこと大好きでしょ。」
「ひまりー。」
照れ隠しをするようにひまりにコチョコチョをした。
「ごめんなさい、許して、りっちゃん。」
あっという間に時間が過ぎていった。
「もう夜遅いし、二人とも車で送るよ。」
美桜さんの言葉に甘えて、車で送ってもらうことになった。りおの家を出るとき、胸の奥が少しだけ寂しくなった。――僕は、一日の終わりがこんなに寂しいなんて、そんな気持ちは、初めてだった。




