第四十二話 約束
「体育祭、中々ハードだな。」
「結構疲れた……なのに、これでまだ午前!?」
「ひまり、なにそんなに驚いてるのよ。」
「りおは、余裕そうだな。」
次の借り物競走で午前の部は最後だ。台風の目は、僕たちのクラスは二位だったが、青団は、そこそこ上位を取れていた。玉入れもりおとひまりが頑張っていた。
「ゆうくん、玉入れの時も応援してくれたよね?」
りおがそう聞いてきた。
「うん。もしかして、うるさかったか?」
「ううん。頑張れたよ。」
「良かった。青団優勝のためにも応援しないとな。」
「そうだね。借り物競走も応援しよ。」
「りっちゃん、ゆうくん、借り物始まるよ。」
三人で並んで座って応援することにした。
やはり、借り物競走は大盛り上がりだ。男子が女子を借りたり、女子が男子を借りる場面もある。
「青春だな……」
「応援しないの?」
りおに聞かれた。
「眩しすぎて、出来ないよ……」
「ゆうくんには、私がいるからね。」
ひまりがそう言って手を握ってきた。
「ありがとうな、ひまり。気持ちだけ受け取っておくよ。」
クラスの人もいたのでひまりの手をそっと、離した。
午前の部が終わり、青団は二位、赤団が一位だ。
「二位か……こっからだな。」
僕は、一人でご飯を食べようとしたら、声がした。
「ゆうくん、お昼食べよ。」
ひまりが僕を呼んでいる。りおも一緒だ。
「もちろん。」
僕は、嬉しくて駆け足で向かった。
「しっかり食べて、午後、頑張らないとね。」
りおがそう言うと。
「りっちゃんのだし巻き、食べたい〜。」
「ひまりったら、はいどうぞ。」
「やった〜。うん、やっぱり美味しい。」
僕も食べたいと思っているとりおが言った。
「ゆうくんも食べる?」
「良いの?」
「良いよ。たくさんあるから、好きなだけどうぞ。」
「では、いただきます。美味い。」
りおは、僕の食べっぷりを見て満面の笑みを浮かべていた。ひまりは、それを羨ましそうに見ていた。
「りっちゃん、もう一個もらっていい?」
「仕方ないね。いいよ食べな。」
「美味しい。無限に食べられそう。」
僕もひまりと同じ事を思う。
「これを食べたら、リレーもっと頑張れそう。」
「ゆうくん、きっと勝てるよ。頑張ってね。」
「バーンって行って、一位取ってね!」
「二人ともありがとう。リレーも団でも優勝しよう。優勝して三人で写真撮ろう。打ち上げしよう。約束だな。」
「「うん。約束だね。」」
午後も全力でやろう。そう、パワーが溢れ出てきた。そんな時だった……
昼ご飯を食べ終わり、一人でグラウンドに戻っている途中、盛り上がりの中でいろいろ聞こえてきた。
「お前らのクラス、リレー出るの、あの女連れだろ。遅そうだし終わったな。勝てねぇよ。」
「お前らリレー捨ててるのか。もったいねえよ。」
「メンバーみんな速いのにあいつ一人で崩壊だな。」
僕は、急に怖くなった。さっきまでの自信は一気に消えた。グラウンドに足を踏み入れようとした瞬間、足が止まった。――あの日の苦い思い出が蘇ってきた。




