第三十七話 らしさ
三人でいろいろ話しながらケーキやクリームパン、だし巻き、お菓子などいろいろ食べていると、
「もう……お腹いっぱい……」
ひまりがそう言った。
「用意しすぎたな……」
「ひまり、パン買いすぎだよ。」
「りっちゃんも気合入れて、作りすぎたんじゃない?」
「二人とも落ち着いて。また、お腹減ったら食べればいいだろ。余ったら僕とばぁちゃんが美味しく食べるよ。」
「ゆうくん、食べたいだけでしょ。」
「太るよ?」
りおに言われて、ギクッとなった。
「誕生日だからセーフ。」
「まったくだわ。」
「机の上、片付けるね。」
そう言って、僕が片付けていると、二人がコソコソ何かをしだしているのを見た。食器を洗い終わり、リビングに戻るとひまりに言われた。
「渡したいもの……あるから来て。」
手を引っ張られて、ソファに二人に挟まれるように座った。僕の胸の音が聞こえてしまいそうなくらいにドキドキしていた。
「渡したいものって……」
「じゃあ、私から……はい、プレゼント!」
ひまりから貰った袋を開けると、そこには、可愛らしいカラフルな水玉模様のティーポットがあった。
「ありがとう、嬉しいよ。これ可愛いね。」
「そうでしょ、センスあるでしょ。」
「ひまりらしくて、僕は好きだよ。」
「ゆうくん、いつもありがとうね。」
ひまりにそう言われて、ふわふわしていると、
「ゆうくん、何変な顔してるのよ。私も用意してきたんだから……はい、これ。その……どうかな……」
「キーケースか!確かにいつも鍵、適当に置いてあるからな。嬉しいよ。実用的でりおらしいな。」
「良かった。これからもよろしくね、ゆうくん。」
「うん……二人ともよろしく!」
「じゃあ、早速、紅茶入れてきて。」
「ひまり、入れるのは僕なのかよ……」
「当たり前でしょ。」
そう言って、貰ったティーポットに紅茶を入れた。
「それにしても二人とも、センスありすぎないか?どっちも嬉しすぎるんだが。」
「りっちゃん、流石だね。」
「りおが決めたのか?」
「いや、これは一個ずつ自分で決めたのよ。」
「そうか……でも、貰えるだけで僕は、満足だ。」
「りっちゃん、予想通りだったね。」
「だから、言ったでしょ、ひまり。私のほうが分かってるから。」
二人が何かコソコソ楽しそうに話していた。僕は、それを見ているだけで、十分だった。
「ゆうくん……まだあるの。」
りおがそう言って袋を取り出した。
「まだ……あるのか?」
「これ。二人で作ったの。」
「写真立て?」
「うん。前に写真が好きって言ってたでしょ。」
「すげぇ……」
「りっちゃんが作ろうって思いついてくれたの。」
「素直に……一番嬉しいよ。二人の想いがこもってる。」
「良かった。」
「りっちゃん、大成功だね!」
二人は、安心した顔で笑みを浮かべた。プレゼントを選ぶときの話をたくさん聞かせてもらった。
気づくと、もう日も落ち、いい時間になっていた。
「そろそろ二人、帰らないといけないのでは?」
「ほんとだ……もうこんな時間。」
りおが寂しそうに言うと、ひまりが言った。
「三人で写真、撮ろうよ!」
「確かに撮ってなかったな。」
「ほら、りっちゃんも撮ろうよ。」
僕を真ん中に三人で写真を撮った。
「はい、チーズ。」
「ゆうくん、目閉じてるんだけど……もう一回ね。」
「すいません……」
「はい、チーズ。」
今度は目をしっかり開けたぞ。
「ゆうくん、目がくりくり過ぎない?」
「ほんとだ、けどいい写真じゃない?」
「なに、二人で盛り上がってるんだ。見せろよ。」
写真を見ると、確かに僕は目を見開きすぎていた。けど二人はいい笑顔だった。
「僕たちらしい、いい写真だね。」
僕は、写真を見てこの二人と居なければこんな表情になることは、無かったんだろうと思った。
「バイバイ!また、明日!」
ひまりがそう言って先に家を出ると、りおもあとに続くと思っていたが僕に近づいてきて言った。
「……あの日のこと、絶対に忘れないから。」
そう言って、軽く僕の手を握り、家を出た。
「何……されるのかと思った……」
僕は、安心したかったができず、しばらくの間ずっとドキドキしていた。――あの手の温もりが、しばらく離れなかった。僕は、その手からりおの心を読めたら良いのにと思った。




