第三十六話 最高の誕生日
ピンポン、とチャイムが鳴った。ドアの外を見ると――二人が待っていた。
「どうぞ。」
ドアを開けるとそこには、いつにも増しておしゃれで可愛い二人がいた。僕は、思わず見惚れてしまった。
「お邪魔しま~す。」
「お邪魔します。」
そう言って二人とリビングに向かった。
「今日、おばあさんは?」
そう、りおが聞いてきた。
「今日は、定期検査で病院だからいないよ。」
「そうなのね。お元気なの?」
「元気だから、心配はいらないよ。」
「そう……」
「てことは、この家には、私たちしかいないの?」
ひまりが何か企んでそうな雰囲気で言った。
「そうだけど……何しようとしてるんだ。」
「別に〜?何も?」
「なら、いいけど。てか、二人とも荷物多くないか?」
そう聞くと、二人は顔を見合った。
「今日は、なんとゆうくんの誕生日パーティー!」
「ゆうくん!おめでとう!」
ひまりが元気よく言うと、りおも合わせて言った。
「ありがとう。二人とも、嬉しいよ。」
「じゃあ、今から誕生日パーティースタート!」
ひまりの合図でパーティーが始まった。
「ゆうくん、どんな歳にしたい?」
りおに聞かれた。
「楽しくて平和な日常がいいなあ……あと、こうやってまた来年も二人に祝ってもらえるように頑張るよ。」
「なんか……それっぽいこと言うじゃん。」
「なんだよ、それっぽいって馬鹿にしてるだろ。」
わちゃわちゃ話をしているとすぐに時間が経っていた。
「じゃあ、ケーキ出してくる。飲み物、何がいい?オレンジジュースか紅茶かコーヒーだね。」
「私、オレンジジュース。」
「私は、紅茶でお願い。」
「了解。」
僕が準備して席に向かうと二人は何だかそわそわしていた。
「ケーキ、空けるね。」
ひまりは目を輝かせるように見て言った。
「うおーすごい美味しそう!」
りおも驚いていた。
「こんな立派なのいただいていいの?」
「ばぁちゃんがいいよって、だから、食べよう。」
「待って……」
ひまりがそう言った。
「私も持ってきたの。クリームパン!」
「パン屋で買ってきたのか?」
「うん。」
「だから、ひまり遅かったのね。」
「りっちゃん、ごめん。」
「で、なんでクリームパン?」
「クリームパンに命かけてたでしょ。だから、いっぱい食べさせてあげようと思って。」
「こんなに買って、太らせるつもりか?けど、ありがとうな。嬉しいよ、ひまり。」
ひまりは、柔らかくどこか安心した笑みを浮かべた。
「実は、私も……」
「りっちゃんも!?」
「りおは、なんだ?」
「だし巻き、作ってきたの……」
「やったー、りっちゃんのだし巻き食べれるー。」
「それは、嬉しいな。ありがとう、りお。」
りおも少し嬉しさが顔に出ていて可愛かった。
「じゃあ、ケーキ分けて、パーティー始めますか?」
「「オー!」」
三人でケーキを頬張った。
「うーん。美味しい!」
「美味しいね。」
「さすがばぁちゃん、センスあるなあー。」
「フルーツ大好きだから、嬉しい!」
「ひまり、テンション高くない?」
「美味しいんだからしょうがないでしょ。」
「じゃあ、ひまりが持ってきた、クリームパン食べようかな。」
「どう?ゆうくん?」
「美味しい。温かくて程よい甘さだよ。」
「良かった!」
「りおのだし巻きもいただきます。」
りおがこっちを真剣な眼差しで見ている。
「やっぱり美味しい。前より美味しい!甘さの中の、味変にもなるから最高!」
「ほんとだね。りっちゃん、良かったじゃん。」
「二人とも褒めすぎだって。でも、ありがとう。」
僕は、もう最高の誕生日パーティーをしたという、満足感があった。誰かに祝ってもらえる。それがこんなに心が満たされるなんて初めて知った。




