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第三十五話 いつも

 僕は、週明けの朝、二人とは会わないように早めに学校に行こうとした。すると、ばぁちゃんが話しかけてきた。

「誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」

 そういえば、今日は僕の誕生日か……

「てことは、もしかしてりおとひまり、僕の誕生日を祝いに来るのか?でも、りおとは今……」

 そんなことをボソボソ言ってるとばぁちゃんが言ってきた。

「ごめんね。今日、病院の検査があるから家には居れないの。ケーキ、冷蔵庫にあるから食べてね。」

「わざわざありがとう。」

 僕は、朝から温かい気持ちになった。けど、その気持ちも束の間だった。学校への道中、りおのことが気になって不安でいっぱいになった。

「ひまりのやつ……結局何が言いたかったんだろう……」

 考えてもわからなかった。

「けど、りおに伝えることは変わらない。」

 そう思い、ドアを開き、まだ無人の教室に入った。


 昼休みになったが、まだ、りおとは話していない。どうしたもんか……そう思っているとりおが来た。

「ねえ……ゆうくん……ご飯いつもみたいに一緒にどう?」

「いいよ……ひまりは?」

「今日は、用事があるみたい。」

 僕は、ひまりの作戦になんとなく勘付いた。二人で向かい合って座った。僕は、りおが何か言おうとしたところに遮って言った。

「その……あの日は、ほんとうにすまなかった。あの日のことがずっと引っかかってた。守るつもりだったのに、りおを困らせてしまって……本当にごめん。」

「……ううん。謝らないといけないのは、私のほうだよ。ごめんなさい……守ってくれたのに……あんな態度取っちゃって。」

 少し重い空気になっていると、ひまりが来た。

「仲直り終わったみたいだね?」

「見てたのか?」

 僕がそう聞くと、ひまりはこっちを見てニヤついた。

「もう、重い空気は終わり!いつも通り、三人でわちゃわちゃしよ。私、それが好きだから……」

「ひまりがそう言うなら……」

 りおと顔を合わせてうなずいた。

「そうだな。わちゃわちゃしようか。」

 僕がそう言うと、ひまりはとても嬉しそうな笑みを浮かべた。

「で、平日の今日になんで僕の家に来るんだ?」

「そりゃあ、もちろんあれだよね。りっちゃん。」

「あれだよね。」

 二人は、クスクス笑っていた。僕は、やっぱり誕生日会をするのかと予想がついた。だから、探りを入れてみた。

「今日、家にケーキあるから三人で食べような。」

「え!?何の話!?」

 ひまりの動揺を見て、予想が確信に変わった。僕は、二人が頑張っていろいろ考えてくれてると思い、これ以上の詮索はやめた。今日の昼休みは、いつもの何倍にもわちゃわちゃしていた。


 帰り道、りおとひまりは、一回家に帰ると行ってしまった。僕は、家について掃除をして二人を迎える準備をした。

「そういえば、ケーキ見てないな……」

 そう思い、冷蔵庫にあった箱を開くと、とても綺麗なフルーツでいっぱいのホールケーキがあった。

「すげぇ……」

 思わず手が止まった。そこには、【誕生日おめでとう】というメーセージが書いてあった。

「ばぁちゃん、いつもありがとう。」

 箱にカードが付いていて、何か書いてあった。

 【悠太、誕生日おめでとう。いつも助かってるわよ。私の分はいらないから、あの子達と食べなさい。】

「ばぁちゃん……」

 僕は、いつもあまり感情を出さないばぁちゃんがこんなことを思ってくれてたなんて……胸が熱くなった。自然と目頭が熱くなってきた。――こんな顔、二人には絶対に見せられない。見られたくない。

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