第百五話 さっそくのピンチ
久しぶりの更新になりました!
出来るときに更新するので
これからもよろしくお願いします!
朝起きて、リビングに降りると、いつも通りのばぁちゃんの声がした。
「おはようさん。」
「おは……」
僕が返事しようとすると……
「おはよう!ゆうにい!」
彩葉の大きな声が聞こえた。不思議な感覚だ。
「おはよう!」
僕も大きな声で返事した。今までとは違う毎日が始まったことを改めて実感した。
今日は予定も無いので疲れた身体を休めようと思って、ソファにくつろぐと彩葉の声がした。
「ねぇ!ゆうにい!来て!」
二階の部屋からもはっきり聞こえる声で呼ばれた。
「何だ?彩葉。」
「ゆうにい、あれ……何?」
彩葉が指す先には、変な装飾品みたいなものがあった。元々、じいちゃんの趣味部屋だったらしく、綺麗にしたつもりだったが残っていたのか。
僕は少し考えた。おとなしく片付けても良いが彩葉がビビっているので怖がらせることにしてみた。
「ね、ゆうにい!何とかしてよ。」
「ばあちゃんから聞いてはいたけど……あれは……」
声のトーンを落として喋ると彩葉がさらにビビった。
「ゆうにい、怖いよ……」
「この部屋の呪い、恐怖が集まっているんだ。」
「うそ……」
彩葉は言葉が出てこない様子だった。
「でも触らなければ大丈夫だから。」
そう言って部屋を後にした。
「待ってよ!置いてかないで!」
彩葉も僕にくっついて部屋から出てきた。相当恐怖に怯えているみたいだ。
「彩葉、部屋に戻るぞ。」
「え!?で、でも……」
彩葉の部屋に戻ってその装飾品を手に取った。
「ゆ、ゆうにい……触ったら……」
「何もないぞ。だって全部嘘だから。」
「え?」
「呪いも恐怖も嘘。ごめん。楽しくて。」
そう言って部屋を出ようとすると後ろから服を掴まれて、引っ張られた。
「ゆうにいぃ?ちょっと良いかな?」
この後どうなったかは、言うまでもないだろう。休もうとしていた時間が地獄になったのであった。
昼過ぎ、彩葉と出掛けることにした。僕のバイト先を見たいらしい。
「何で本屋さんなの?」
「受かったのがそこだったから……」
「結構落ちたんだ。でも今のとこで良かったよ。先輩も店長も優しいし、何か落ち着く時間だからさ。」
「私もそこでバイトしようかな〜」
彩葉が本屋に入ったら、俺の落ち着く時間が無くなる。それは、まずいので何とか話題を変えようとした。
「今は、募集してないから無理かもな。」
「え〜残念。」
「それより、家で足りてないものとかあるか?」
「服とかかな?高校生になるしちょっとは、気にしようかなって、ゆうにいみたいにはならないように。」
「余計な一言が聞こえたような……でも俺と見に行ってもアドバイス出来ないぞ。」
「大丈夫。そこは、求めてないから。」
にっこりと笑った顔で言われた。僕は、安心したと同時に少し虚しくなった。
「着いたぞ。」
「雰囲気良いね。」
「だろ。」
中に入ると、先輩がレジに立っていた。すぐに僕たちに気づいて手招きしてきた。
「悠太くん!?」
近づくと耳打ちで先輩が僕に話しかけてきた。嫌な予感がする。
「もしかして、その隣の子って……」
予想通りの事を聞かれた。
「妹です。前、少し話した。」
「え〜妹さんなの?可愛らしい。」
「あ、どうも。初めまして。」
「初めまして。さきです!よろしくね。」
「彩葉です。」
「彩葉ちゃん!?名前可愛い〜」
「先輩あんまり余計な事言わないでくださいね。」
「はいはい。」
先輩は、彩葉を呼んで二人で楽しく話していた。二人の表情を見て分かる。絶対余計な事、言ってるな……
しばらくして、本屋を後にした。
「彩葉、楽しそうだったな。」
「さきさんとっても愉快な人だね。」
「愉快がすぎるけどな。」
「綺麗だし、ゆうにい狙ってるの?」
「無いな。良い先輩ではあるけど、少し手に負えないな。」
「へ〜そうなんだ。」
彩葉は、不思議そうな顔をしていたが一緒に働いていたら分かる。あの愉快の恐ろしい部分を。ハプニングは、面白いけど大変だ。ほどほどが良いな。
その後も街を二人でぶらぶら歩いた。
「なんか甘い物食べたいかも。」
「どこか寄って帰るか。」
そうして、カフェに入ることにした。
「こんな所あるんだな。知らなかった。」
「パフェ!パンケーキ!美味しそう!」
僕の声は耳に届いていないみたいだ。
「あ!?」
聞き覚えのある声がした。まずい、彩葉が居るのに、こんな所で遭遇したら……そんな願いも虚しく、誰かがこっちに近づいてくる。
「ゆうにい!あの人知り合い?」
顔を上げず何とかやり過ごそうと、僕は、咄嗟に首を横に振った。耐えられるだろうか……




