第百三話 出発
「今日も疲れた〜」
「ゆうにいお疲れ。」
みんなで食事した後、昼からは荷物を運び出した。
「一日中、大変だったな。」
「今日は、来てくれてありがとう。」
「うん。楽しかったよ。みんな良い子だな。」
「本当にそうだよ。あの子たちと居ると楽しくて……」
「楽しそうな彩葉を見れて嬉しかったよ。」
「嬉しいって……にしても、ゆうにいモテモテだったじゃない?」
「そうか?」
「みんなゆうにいのこと気に入ってたよ。特に優奈。」
「あ〜少し話したら仲良くなったな。」
「ふ〜ん。そうなんだ〜」
冷たい目で僕を見てきた。
「何、余計なこと考えてるんだ。」
「考えてないよ。」
「みんな彩葉の事、好きみたいだから、たまにはここに会いに行けよ。あと、連絡もちゃんとしろよな。」
「うん。」
「そういえば、これ。」
僕は、撮った写真を彩葉に送った。
「写真?」
「うん。凄い仲良さそうでつい。」
「良い写真……」
「それは、良かった。」
「ねぇ、ゆうにい。良い事、思い付いた。」
彩葉からその内容を聞いた。
「今からでも間に合いそうだな。やろう!」
出発の日になった。
「もう、本当に何も無くなったな。」
「そうだな。悠太、来てくれて助かったよ。」
「ピカピカだね。」
「出発する準備しとけよ。」
「うん。」
そんな話をしてると、丁度インターホンが鳴った。
「来た!」
彩葉が玄関へ走っていき、ドアを開けると昨日のみんなが居た。
「おはよう〜。優奈来れたの!?」
「うん。朝なら行っても良いって。」
「わざわざありがとうね。みんなも。」
「彩葉ちゃんだからみんな集まったんだよ。」
「そう!みんなでお見送りするから!」
「私もみんなに渡したい物あるから。」
「昨日から楽しみだったんだ。」
「気になる!」
「言ったけど、あんまり期待しないでよ。」
「早く早く。」
みんなウキウキしながら待っている。
「持ってくるね。」
彩葉が取りに行った。
「お兄さん、昨日はありがとうございました。」
「優奈さん、こちらこそ。彩葉と仲良くしてくれて。」
「結構、モテたりするんですか?」
優奈の言葉にみんなが耳を傾けた。
「そんな事ないよ。」
「へ〜」
そんなことを話していると彩葉が帰って来た。
「持ってきたよ!はい、これ!みんなに。」
彩葉は、昨日思い付いて二人で作った、僕が撮った写真入りの手作りフォトギフトをみんなに渡した。
「え!凄い!」
「可愛い〜」
「この写真いつ撮ったの?」
彩葉が僕の方を見てきた。
「すいません。僕が撮りました。仲良さそうに並んでいて綺麗だったんで。」
「写真撮るの上手!」
「ほんとに、良い写真だね。」
「大事にするよ。」
「ありがとう彩葉ちゃん。お兄さんも。」
「良かったな彩葉。」
僕がそう言うと彩葉がにっこり笑って言った。
「やったね。」
「そろそろ出発するぞ。」
父さんの声が聞こえてきた。
「みんなありがとう。また帰ってくるから。」
みんなが彩葉に抱きついた。
「絶対帰ってきてね。」
「うん!」
車に乗った。外ではみんなが見送りしてくれている。
「またね。バイバイ!」
彩葉がそう言うとみんなの大きな声が聞こえてきた。
「みんな大好き!」
その言葉を言った彩葉は、寂しい顔ではなく、満足そうな顔で口角も少し上がっていた。
「ゆうにい、これからまた、よろしくね!」
「うん。よろしく。」
彩葉の新しい生活は、この出発とともに始まった。




