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どうぞのはなし〜カッパ男からその先へ〜  作者: のっぽ童子


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3/4

仏、異世界で人を救えるのか?

路地裏に1人の少年が手にペンダントを握り締めて、駆け込む。


「おい、待て! 逃げれると思うなっ!」


その後から、世紀末ファッションで追いかける男が複数名。

中には青い蜴人(リザード・マン)や白の狼人(ウルフ・マン)もいる。


「ヒッヒッ」


狼人(ウルフ・マン)が地面を蹴り、動き出す。


(クッソ......追いつかれるっ!)


顔を隠すボロボロのローブが揺れる。

だが、単純な身体能力で狼人(ウルフ・マン)に勝てるわけもなく、すぐ背後に付かれる。


「死ねぇっ!」


そして、爪を立てながら、白い腕を振り下ろそうとする。


「くっ!」

(ごめんね......母さん)


少年は背中を丸めて、覚悟を決めた。


ファーーーーン。


しかし、妙な音とともに辺りが光で照らされ、



「眩しっ!」


狼人(ウルフ・マン)が狼狽して、下がる。


その光から現れたのは......鉄の螺髪(らほつ)、おでこの白毫(びゃくごう)、着衣してる納衣(のうえ)、親指と人差し指で丸を描く掌印(しょういん)、それらを併せ持つ金色の仏像であった。


(なに? これ......)


姿に少年も驚いた。


「争いは善くありません。人は話し合うべきです」


ズズっと、仏像が動く。


(うわっ! 喋った!?)


少年の覚悟は仏像の登場により潰えたようだ。


「うるせぇ! 邪魔すんなら、テメェも!」


狼人(ウルフ・マン)が攻撃を仕掛ける。


「仕方ありませんね......」


しかし......でこの白毫(びゃくごう)には既にエネルギーが溜まっていた。


「あなたたちの悪い因果が巡るだけです」

『因果応報光!!!』


白毫(びゃくごう)から放たれたそれは、


「ワオォォォン」


狼人(ウルフ・マン)を包むだけでなく、


「え、俺たちも......? あばばばばばば!」


後ろに控える男たちも光一色で塗り潰した。

その光で焼かれた悪党たちはその場で崩れ落ちる。


「大丈夫ですか?」


今度はゴゴっと少年に顔を向ける。


「わっ! 助けてもらってありがとうございます......」


少年の顔が明るみになる。

ボサボサの黒い髪に蒼い綺麗な瞳が謎の仏像を見つめる。


「礼には及びません。あなたは善い人ですから」


顔を引き戻す。

その表情は一切揺らがない。

まさしく、仏頂面だ。


「失礼だと思いますが、あなたは誰なんですか?」


「平たく言えば......仏と呼ばれる者です」


「ホ ト ケ?」


きょとんとした態度で腕を組む。


「そうでした。ここには居ない存在でしたね」


「ん? ということは......あなたは異世界の方なんですか!?」


「はい。昔はある寺院に居たのですが、気付いた時には......」


ホトケが上を眺める。

何か、思うことがあるのだろう。


「なるほど。じゃあ、助けてもらったお礼に、この町の案内をさせてください!」


「ムタリさん」


「え、なんで、ぼくの名前を?」


ムタリの声が弱まる。


「あなたのお母さんは攫われていますね」


「お母さんを知って......?」


「私は人の過去が見えるんです。異世界だからなのか、ぼんやりですが。また別の力で大まかな場所は分かります。とりあえず、ムタリさんのお母さんを助けに行きましょう」


「良いんですか!?」

(この人?なら、お母さんを......)


「ええ、これも何かの縁ですから」


ホトケはどこからか、取り出した桃色の大きな蓮を地面に置いて、座る。

というか、立っている。


「それは......?」


「ここだと私の力が弱まるので、この蓮に乗って、高めるのです。ムタリさんも乗ってください」


「わ、わかりました」


困惑しながら、ムタリが蓮にちょこんと座る。

蓮の上に立ち仏像と可愛らしい少年が乗っている奇妙な光景の出来上がりである。


「『神足通じんそくつう』!!!」


ホトケが張り切って声を出すと、2人はその路地裏から消え、代わりにある暗い場所に移っていた。


「ん、臭い......」


ムタリが鼻を摘む。


「ここは下水道のようです」


「本当にいるんですか?」


「はい。この奥に強い声が聞こえます。〈ムタリ、ムタリ......〉と」


その言葉にムタリが眼を見開く。


「急いで行きましょう!」

(待っててね......お母さん)


ムタリが闇雲に走る。

ホトケは何かを察知して、ムタリの横を並走する。

移動しても移動しても感じるのは、鼠の気配と汚水の音だけ。


「ホトケさん! お母さんはどこですか!?」


ムタリの眉毛に汗が流れる。

だが、瞬きすらしない。

それだけ、必死なのだ。


「奥のはずです!」


ホトケが足の指を削る勢いで動き、角を急旋回する。

その先から壁に鉄格子が埋め込まれ、中に部屋が確立されている。


(酷い臭いだ......もしかして、お母さんの他にも、連れ去られた人が......?)


こうなれば、鼻を塞ぐ余裕なんかない。


「声が強くなっています......ん、ここです」


ホトケが向いた方向の鉄格子の奥には、白が霞むほど汚れたローブを着た人がいた。


「ムタリ......」


「お母さん......?」


ムタリの手が震える。


「ムタリ......ムタリなのか!?」


がっつくように両手で鉄格子を掴む。

しかし、そこから聞こえるのは、男の声だった。


「誰......?」


ムタリがそう期待と希望を吐き捨てるとともに、横から爆発したかのような衝撃が発生する。

巻き込まれるより前にホトケが飛び出して、ムタリを救い出す。


「ようやく、会えたな。ムタリ」


その男は世紀末ファッションを着付け、細身かつ筋骨隆々で両刃の斧を肩に携えていた。


「お母さんをどこへやった!?」


眼は怒りで一杯だ。


「焦んなよ。お前が俺たちを嗅ぎ回っているのは知っていたし、部下がやられたのも知ってる。まぁ、こんなに早く来るとは思わなかったが。とはいえ、事前にお前の母さんを別の場所に移しておいて良かった」


ムタリとは対照的な赤色の眼がギロリとこちらを覗く。


「さっきの人は囮ですね......道理で言葉が〈ムタリ〉一色なわけです」


「うわ、なんだお前......像?」


「仏です」


男はまるで害虫を見たかのような反応でその場をあしらう。


「ぼくはお前を許さない!」


「許されなくていいさ、そういう稼業だからな」


男の態度は達観しているように見えた。


炎弾(ジュワーラー・ゴーリー)!」


ムタリの手から炎の弾が発射されるも、男の斧がそれへ触れる前に打ち消す。


(斧に何か纏ってる......!)


ムタリの眼に男の斧を振り被る姿が映る。


「ンキアさん。私は誰だろうと救いますよ」


しかし、その時、ホトケが。

ファーーーーーン。

体を神々しく光らせる。


「俺のこと知ってんのな」


ンキアは眼を手で覆って、そう言い放つ。


「あなたは善い人ではありません。なので、これを喰らいなさい」

『因果応報光!!!』


本日二度目の聖なる光線がンキアの心を焼く。

シュバン。

それより速く、閃光はただの斧によって、潰えた。


「こんなもんか。ホトケさんよ」


ンキアが斧を肩に置く。


(やはり、この人の業は深すぎる。力の弱った今の私では救(掬)い切れない)


ホトケはそう判断する。


(ホトケさん! この声は聞こえるんでしょう!?)

(ムタリさんの声......)

(あいつは斧に風魔法を纏ってます! だから、攻撃の際に衝撃波が起こっていたんですよ!)

(なるほど)

(ぼくは足手纏いなので、後は任せます!)


ムタリからの一方的な報告が終わり、ホトケが前に出る。


「何か、考えたみたいだが、俺はここでおいとまさせてもらうぜ。ここはもう要らないしな」


ンキアがきびすを返して、背中を向ける。


「「えっ!?」」


相当、予想外なことで2人が驚愕する。


「待てっ! お母さんを返せっ!」


「無理だ。まだ、やってもらわなきゃならんことがあるからな」


(やってもらわないといけないこと......?)

「それは......!?」


ムタリが息を呑む。

しかし、もうンキアの姿は見当たらない。


(何も......出来なかった)

「逃げられましたね......ホトケさん、帰り......」


ムタリの心には無念が残る。

後ろを見ると、冒険者らしき服装にホトケは縄で縛られていた。


「えっ」


ムタリも同様だ。


「ンキアと名乗る者からの通報より不法侵入及び、人身売買の罪で2人?の身柄を確保」


2人は仲良く、騎士が監視する檻の中に閉じ込められた。


「えぇ〜〜〜!?」


ムタリの驚きだけが木霊する。

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